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(株)橋本工務店 (有)岩本電機製作所

(有)岩本電機製作所

 有限会社岩本電機製作所は、民生機器のハーネスを継続受注生産している企業である。平成8年度に岩手県産業情報センター(当時)の情報化モデル企業育成事業を活用し、生産管理情報システムを構築した。システム構築のねらいは、多品種少量生産の管理業務を省力化すること、この育成事業をとおしてシステム技術者を育成することであった。
 情報化から3年を経過した時点で当社を訪問し、システムの稼働状況・導入後のシステム拡張状況・システムの導入効果・今後の課題等についてお話を聞いた。当社は、設備機械による省力化・情報基盤の構築による効率化等により3年前に比べて、従業員数、売上高ともに約2倍の規模に成長している。

<企業概要>
代表者 代表取締役 岩本明佳
所在地 岩手県九戸郡種市町12-60-6
従業員 55名
資本金 3,000千円
業務内容 民生用ハーネス製造

<企業沿革と情報化>
昭和63年9月 岩本明佳氏によりマルモトハーネスとして創業。
平成3年10月 有限会社岩本電機製作所として法人化。
平成4年 受注管理業務の情報システム化。
平成8年 給与計算および売上管理業務のシステム化。
平成9年 生産管理情報システム稼働。

1.平成8年度情報化モデル育成事業
1. 生産管理情報システムのねらい
構築した生産管理情報システムのねらいは次のとおりである。(図1参照)
1) 事務作業の省力化・合理化
生産形態が多品種少量の継続受注生産であり、管理が複雑で人手により多くの工数がかかっていた。そこで、これをコンピュータ化して事務作業の省力化・合理化を図る。
2) 受注残管理の徹底
受注残管理を徹底して納入ミスを無くすとともに、得意先からの各種問い合わせにも即答できるようにし、顧客サービスの向上を図る。
3) システム設計可能な技術者の育成
生産管理情報システムを自社で保守し、レベルアップするため及びシステムインテグレータ等の新規事業の布石として、システム設計可能な技術者の育成を図る。

生産管理情報システムズ 生産管理情報システムズ 生産管理情報システムズ
生産管理情報システムズ 生産管理情報システムズ 生産管理情報システムズ
生産管理情報システムズ 生産管理情報システムズ 生産管理情報システムズ

2. システム概要と構築ステップ
当社における情報化の究極の目的は、工場内に情報インフラを構築して管理精度を向上することにある。この目的のために下図の生産管理情報システムを構築するが、その作業を3段階に分け情報化を実現することとした。平成8年度のモデル企業育成事業では、ステップ1が実現され、これに続いてステップ2の在庫管理業務の情報化が自社の技術のみで実施され成功裏に稼働している。ステップ3以降が今後の課題となっている。
・ステップ1 受注出荷管理業務
・ステップ2 購買外注管理・在庫管理業務
・ステップ3 工程管理業務

2.導入後のシステム拡張状況
 ステップ1の受注出荷管理業務に続いて、ステップ2の在庫管理業務を中心とした情報化の作業を実施し、システムを拡張した。この作業は、すべて自社の要員によりシステムの設計からプログラミングまで行った。システム拡張した内容は、次のとおりである。(図2参照)
1. 資材計画業務
製品に必要な資材を求める部品受注工程の自動化。
2. 在庫管理業務
資材の入出庫処理および在庫一覧表作成。
3. 売上管理業務
日次売上の管理業務の機械化。

在庫管理の流れ 在庫管理の流れ 在庫管理の流れ
在庫管理の流れ 在庫管理の流れ 在庫管理の流れ
在庫管理の流れ 在庫管理の流れ 在庫管理の流れ

3.システム導入による効果
 生産管理情報システム化により、次のとおり生産性の向上及びサービスの向上効果があり、売上高アップにつながった。
1. 事務作業の省力化による人員の削減効果
受注出荷管理の合理化・事務作業の省力化により人員を削減できた。
2. 受注残管理の徹底による顧客サービスの向上
受注残管理業務のコンピュータ化により管理レベルが向上し、顧客サービスが向上した。
3. 情報化技術者の育成
システム設計可能技術者が社内に育成された結果、社内システムの保守・レベルアップが可能となり、新規事業進出の基盤ができた。

4.今後の課題
 当社では、業務のしくみを改善し、情報化により電子掲示板のような情報インフラを構築して、計数により工場を管理することをめざしている。そのため今後は、
1. 資材の発注・受け入れ・納期管理業務のシステム化
2. 作業工程管理業務のシステム化
3. 原価管理業務のシステム化
を必要の都度実施し、身の丈に合ったしくみを構築していくことが課題となる。
 また、システム開発技術者が育成されたので、この貴重な人材を活用する方策が必要となる。
 (中小企業診断士 大島秀一郎)


 
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