さらに低下した求人企業比率 23.1%
来春の求人 採用姿勢は依然として慎重

   岩手県情報研修センターは、9月30日現在で県内中小企業を対象に求人実態調査を実施した。回収サンプル数は605企業(有効回収率36.7%)である。
 これによると、今春の新卒者に対する求人企業比率は大幅に低下した前年実績をさらに下回った。また、来春の採用計画においても約半数の企業が「採用せず」としており、県内の雇用情勢については、依然として企業側の採用姿勢が慎重なものとなっている。

 この調査は当情報研修センターが毎月実施している経営動向調査の対象企業、1,650企業に対して9月に調査を実施したもので、回収サンプル数は鉱業・建設業110 、製造業203 、卸売業69 、小売業150 、運輸業25 、サービス業48の合計605社(有効回収率36.7%)である。

求人企業比率 23.1 %
採用企業比率 23.3%

 表1は業種別の求人状況をみたものである。これによると、今年の新卒者に対して求人のあった企業比率は、全業種で23.1%(前年調査27.2%)と大幅に低下した前年実績を4.1ポイント下回った。求人数においても496人(同770人)と前年比274人の減少となり、1企業当たりの求人数は0.8人と前年調査の1.2人を0.4人下回った。
 これを業種別にみると、鉱業・建設業28.8%(前年調査34.5%)、製造業23.2%(同30.0%)、卸売業17.4%(同21.3%)、小売業19.3%(同21.5%)、運輸業12.0%(同11.5%)、サービス業36.2%(同30.0%)となり、運輸業とサービス業を除く全ての業種で前年を下回った。そのなかにあって、唯一サービス業が前年比6.2ポイントと大幅な増加となっている。
 また、今春新卒採用者のあった企業比率は、全業種で23.3%(前年調査29.3%)と前年を6.0ポイント下回った。新卒採用者数でも484人(同692人)と前年比208人の減少となり、1企業当たり0.8人とここでも前年調査の1.1人を0.3人下回った。
 今年4月から9月までの6ヶ月間に中途採用のあった企業比率でも常用従業員35.0%(前年調査37.0%)、臨時従業員5.3%(同5.7%)といずれも前年を下回った。1企業当たりの採用者数では、常用従業員が1.3人(同1.1人)、臨時従業員が0.1人(同0.2人)となり前年とほぼ同様の数値となった。
 一方、今年4月から9月までの6ヶ月間に離職者(定年退職、解雇者、死亡を除く)のあった企業比率は32.7%となった。業種別にみると、運輸業が56.0%と最も高く、次いで鉱業・建設業が38.7%、製造業が34.5%の順となっている。
 また、全業種の充足率(採用者数÷求人数)は求人数が採用者数に比べ大幅に減少したため、97.6%(前年調査89.9%)と前年を上回った。業種別にみると、鉱業・建設業、製造業で求人数を上回る高い充足率となっており、次いで運輸業が100.0%、サービス業が97.9%、小売業が94.5%となっている。反面、卸売業では68.6%にとどまり、他の業種に比べ低い充足率となっている。
 以上の調査結果を例年の傾向と比較すると、製造業において例年求人比率の高い一般機械が25.0%(前年調査62.5%)、電気機械が36.4%(同64.7%)、印刷が30.0%(同58.3%)といずれも前年を大幅に下回っているのが目につく。運輸業では例年と同様であるが、中途採用者、離職者とも比率が高い反面、新卒者の求人比率は全業種中で最も低くなっている。

表1 業種別求人状況



年代別離職者比率 「20代」が33.6%

表2は企業側からみた離職理由の内訳である。最も多かったのが「仕事が本人の適性に合わない」で56.3%(前年調査60.5%)、以下「その他」が28.8%(同27.7%)、「結婚、世帯主の転勤等家庭の事情」が27.5%(同27.4%)、「職場内の人間関係がうまくいかない」が25.8%(同23.3%)、「給料等待遇面の不満」が13.2%(同15.0%)となっており、この順番は前回調査と全く同様である。
 これを業種別にみると、全業種で「仕事が本人の適性に合わない」が最も多いのは例年の傾向と同様であるが、小売業で「結婚、世帯主の転勤等家庭の事情」、運輸業で「給料等待遇面の不満」が他の業種と比較して多いのが目につく。
 次に、図1は業種別、年代別にみた離職者の比率である。全業種では、「20代」が33.6%(前年調査36.4%)と最も高く、次いで「50代」が17.2%(同16.9%)、「30代」が15.9%(同16.9%)となっている。「新卒」と「10代」の若年層は合計で19.4%(同16.5%)となっている。
 これを業種別にみると、鉱業・建設業では「50代」が33.7%と全業種中で最も高い。製造業では「20代」が28.9%と多いものの、他の業種に比べ各年代に分散している。卸売業もほぼ各年代に分散しているが、他の業種と比べ「20代」が41.4%と高くなっている。小売業では「20代」が45.4%と全業種中で最も高い。運輸業では「30代」が27.1%、「40代」が20.3%とそれぞれ他の業種に比べ高くなっている。サービス業では「新卒」と「10代」の合計が36.4%と全業種中で最も高くなっている。

表2 業種別離職状況
 

 

 
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