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(株)小田島組

<企業概要>

代表者 代表取締役 小田島 敏夫
所在地 岩手県北上市和賀町竪川目1-33-137
従業員 50名
資本金 2,000万円
業務内容 公共工事を中心とした土木工事


<企業沿革>

昭和45年9月 小田島敏夫氏により小田島組を創業。
昭和60年12月 組織を法人化して(有)小田島組と改める。
平成4年9月 (株)小田島組と改め現在に至る。


1.平成8年度情報化モデル育成事業

 当社は土木工事業を主たる業務としているが、「情報の共有化」が重要な経営課題のひとつとなっていた。具体的には、営業力および工事力強化のために、営業情報/工事情報/技術情報を社内で共有化したいというニーズであった。例えば、「どこが工事の対象になりそうだ」といった情報は営業上の重要情報であるが、社内のAさんがその情報をつかんでいたのに、Bさんがそれを知らずに営業をしていたというケースがあった。一人一人が持っている情報をお互いに共有できるようにするためには、どのようなシステムを構築し利用すればよいかを検討することとなった。候補となったシステムは、「パソコン通信運営ソフトの導入」、「商用パソコン通信サービスの利用」、「グループウエアソフトの利用」、「インターネットを利用したシステム」の4種類であった。検討の結果、「インターネットを利用したシステム」を採用することとし、平成9年2月に稼動した。

2.インターネットを利用した情報共有システム


 機能面から見るとグループウエアによるシステムが大変魅力的であったが、当時はコスト的な問題で見送った。インターネットを利用した理由は、次のとおりである。
(1)社内に専用パソコンを設置する必要がなく、コスト面でも手間の面でもメリットがある。
(2)イラストや画像を取り入れた画面にできるので、初心者にとって親しみやすい。
(3)電子掲示板と電子メールが利用でき、情報共有手段としても活用できる。
(4)地元に条件にあうプロバイダがあり、ホームページ開設もでき、費用も手ごろである。
(5)プログラム制作を含むホームページ作成を請け負える業者が地元にあった。

 システムの仕組みは、おおむね次のようになっている。
(1)プロバイダのコンピュータ上に非公開のホームページを置き、電子掲示板機能を組み込んでおく。
(2)本社及び現場のパソコンからインターネットIDでその電子掲示板にアクセスし、情報の書き込み及び読み取りを行う。
(3)必要があれば、電子メールで個別に情報のやり取りを行うことも可能である。
 掲示板の種類は、「会社からのお知らせ」、「営業情報」、「工事情報」、「技術情報」等であった。社内で操作講習会を開催し、徐々に書き込みがなされ、部分的に情報の共有化がなされるようになった。

電子掲示板メニュー(拡大)
電子掲示板メニュー
電子掲示板メッセージ入力フォーム(拡大)
電子掲示板メッセージ入力フォーム

 

3.グループウエアを利用した情報共有システムへ


約1年ほどこのシステムを利用して、「情報共有」を定着させてきたが、当初数人からスタートした利用者が10数人にまで増えてきていた。人数分のIDをプロバイダから有償で取得していたため、プロバイダに支払う料金が多大なものになりはじめてきた。
 プロバイダの年間更新時期に再検討した結果、「グループウエアを使用した情報共有システム」へ移行することとなった。
 グループウエアソフトで代表的なものは、「ロータスノーツ」であるがコスト面で当時見送っていた。それに替わるソフトで、「ハイパーグループWeb」という低価格なものを入手することができ、さらにサーバーパソコンが低価格になったこともあり、WindowsNTサーバーを社内に設置しWebグループウエアソフトを稼動させた。社内のパソコンからはLAN経由でアクセスし、現場からは電話線でアクセスする。パソコン側で使用するソフトは、以前と同じインターネットブラウザソフトである。インターネットには接続せず、社内専用のクローズドなシステムとしている。もちろん社員間で電子メールを利用することもできる。

4.どのように活用しているか

 

取扱う情報の内容は、スタート時点と変わりがない。「社内連絡」、「営業情報」、「工事施工情報」、「現場技術情報」である。書き込みを行うのは担当役員、現場責任者、現場若手等である。電子掲示板のタイトルのみを週1回印字し、営業会議に活用している。タイトルを見ながら営業見込み物件、工事施工状況等を確認しあっている。現場通勤費の精算も電子メールで行うようになった。
 また、電子掲示板以外に「スケジュール」や「住所録」機能も使用し、それらの情報を共有している。

ネットワーク構成図(拡大)


5.成果と課題


情報を書き込む社員が多くなり、当初の目的はひとまず達成できたと言える。実際に営業会議等でこれらの情報の活用がなされている。情報量やどの程度の情報が網羅されているかという点ではこれからであるが、ねらいどおり着実に進展していると言ってよいだろう。
 このシステムをきっかけにパソコンに触れることになったため、「新しいもの」に対する抵抗がなくなった。例えば、デジタルカメラで現場写真を撮り、その写真の入ったプレゼンテーション資料を作成して営業活動に活用している。写真を電子メールに添付することもある。

拡大  課題としては、「情報の伝達に時間がかかる」ということがある。書き込んだものを見てもらえるまでに時間がかかるため、タイムラグが発生してしまう。どのようにして頻繁に見るようにするかという問題点でもあり、クイックレスポンスを求められるケースでは使用できないということでもある。また逆に、電話ですぐに解決した場合には情報が残らないという問題点もある。
 書き込みが多くなってくると、情報が多すぎて困るというケースもでてくる。どのように情報にフィルタをかけ、必要なものだけを取り出すかが課題となりはじめている。
 最後に、サーバーを社内に置いたこともあり、パソコンのハード/ソフトのトラブルが負担になっている。修復に要する手間が馬鹿にならないのが現状である。
   (中小企業診断士 原 宏行)

 
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