特集●コンピュータ利用実態調査結果

特集●コンピュータ利用実態調査結果

コンピュータ化業務「コミュニケーション」が著増
パソコン1人1台以上 4社に1社


 「底はみえた」とはいわれながらも、当岩手県情報研修センターの経営動向調査等からもわかるとおり厳しい景況が続いているこの景況にもかかわらず、本県中小企業におけるコンピュータの導入は確実に進み、導入率は76.8%と初めて4分の3を超えていることがわかった。
 この調査は、調査時点が平成11年5月1日、調査対象企業が当センターで毎月実施している経営動向調査の対象企業1,385企業である。回収サンプル数は560企業、回収率は40.4%であった。回答企業の業種別等の構成割合は表1のとおりである。

導入率 縮小するも大きい地域間格差

 図1は、1983年から99年までの16年間におけるコンピュータを導入している企業、導入意思のある企業、導入意思のない企業について、その推移を表している。導入率は、当初24.5%と4社に1社にも満たなかったが、91年に初めて50%を超えた。その後も導入率は徐々に増加し、97年には70%を超えた。前回調査の伸び率は2.6ポイントと小幅であったが、今回調査では3.9ポイント増加し、76.8%となり、調査開始時に比べ「導入」と「未導入」が逆転し4社に3社はコンピュータが導入されている。以上のとおりコンピュータの導入割合は確実に高まっており、企業における「情報」に対する認識の高まりとそれへの対応の状況が窺われる。
 
表1は、業種別等で「コンピュータの導入」、「未導入」、「導入意志のある企業」、「導入意志のない企業」の状況を表している。これを導入率に絞って、まず業種別にみれば前回調査までと同様に建設業が一番高く、前回調査では全業種平均より低かった卸売業が2番目に高い。次いで製造業、運輸業が続き、これら4業種が80%以上の導入状況である。
 従業員数規模別と売上高規模別では、これまでどおり、いずれも規模が大きくなるに従って導入率は高くなっている傾向には変わりはない。
 生活圏別の導入状況を前回調査との比較でみれば、導入率は下がったものの前回調査に引き続き二戸地域が一番高く、次いで盛岡地域、両磐地域の順であり、上位3地域は前回調査と同じである。次いで岩手中部が第4位であり、これら4地域が80%を超えており、全地域平均をも上回っている。ちなみに前回調査では導入率が最高の地域と最低の地域間での格差は40.8ポイントもあったが、今回は一番高い二戸地域と一番低い気仙地域間の差は32.4ポイントであり、地域間格差は縮まっている。しかし依然地域間格差は顕著なものがある。

図1 導入状況の推移(1983〜99)
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表1 業種別等導入状況 (単位:%)
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パソコン1人1台以上 4社に1社

 図2は、使用しているコンピュータの種類を表している。多い順に「パソコン」、「オフコン」、「CAD/CAM」である。パソコンは前回調査に引き続き微増し第2位のオフコンの3倍を超える使用状況である。オフコンは前回調査と同値であり、前回調査で減少したCAD/CAMは5%余り増加した。それ以外では、汎用機とUNIXは漸減傾向にあり、POSは半減、EOSは微増している。いずれにしろ、パソコンがさらに高性能化、かつ低廉化している現状からして、パソコンの漸増傾向は限りなく100%に近づくものと予測される。
 
図3は、パソコンの使用形態を表している。「スタンドアローン(単独使用)」が前回調査より7.5ポイント増え78.0 %となり、同様に「LAN(社内ネットワーク)」と「社外ネットワーク」も増加しており、特に「社外ネットワーク」は6.3ポイントも増加している。これは情報化の進展にともない使用形態の多様化もあわせて進んでいることを窺わせる。
 
図4は、従業員1人当たりのパソコン設置台数を表している。「0.1台以上0.5台未満」と「「0.5台以上1.0台未満」の合計が61.1%と半数を超えるが、「1.0台以上」も26.4%と4社に1社以上の割合である。


図2 使用しているコンピュータの種類 (単位:%)
図2
(注:複数回答)
図3 パソコンの使用形態 (単位:%)
図3
(注:複数回答)

図4 従業員1人当りパソコン設置台数
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この図で従業員とは、通常業務でパソコンを使用している者をいう。