特集平成11年度上期県内法人企業設備投資計画調査結果

投資額 前年同期比△18.4%の減少

  投資計画のない企業 引き続き増加傾向に


 この調査は、当岩手県情報研修センターが岩手県商工労働観光部の委託を受けて、半年ごとに実施しているものであり、調査時点は平成1125日現在である。調査結果は平成114月から9月までの数値となっている。

 調査対象企業は、従業員規模が建設業、製造業では80人以上、卸売業、小売業、運輸業、サービス業は40人以上の主要法人企業500社である。回収サンプルは166社で、有効回収率は33.2%であった。回答企業の業種別内訳は建設業28社、製造業66社、卸売業17社、小売業16社、運輸・サービス業39社となっている。

投資額  前年同期比△18.4%の減少

 表1は、回答のあった166企業の業種別設備投資動向(支払ベース)を示したものである。これによると平成11年度上期における設備投資計画の総額は69,809万円で、長引く景気の低迷により深刻な状況が続く県内景況を反映し、前年同期比△18.4%の減少となった。また、対前期比でも△10.1%の減少となっている。

 業種別にみると、建設業では、前年同期比△74.1%と大幅な減少となっている。これは、工事高が対前期、前年同期とも大きく下回る見通しもある等の厳しい経営環境にあって、設備投資に対して慎重な姿勢を強めている企業が増加したためと思われる。

 製造業では、業種によるバラツキがみられるものの、全体では前年同期比△17.7%の減少となっている。個別業種ごとにみると、前年同期比マイナスとなったのは、食料品、木材・木製品、パルプ・紙・紙加工、出版・印刷、窯業・土石、機械、電気、精密である。このうち、出版・印刷は一部企業において前年同期に機械・装置への大型投資があり、その反動で△84.3%と大幅に減少した。また、窯業・土石も同様の理由から△74.5%の減少となっている。機械も前年同期に工場新設や機械・装置への投資があったため、△57.2%の減少となっている。

 一方、前年同期比プラスとなったのは、繊維、化学、鉄鋼、金属である。このうち繊維では機械・装置への設備投資があり、前年度投資が低調だったため前年同期比449.2%の大幅増加となっている。鉄鋼では機械・装置への投資が多く64.0%の増加、同じく機械・装置への投資が多い金属でも30.8%の増加となっている。化学ではサンプル数が少ないが土地購入への投資があったため、52.9%の増加となっている。

 卸売業では、一部企業で土地の取得への投資がみられたこと、また車輌を中心とした機械・装置への投資が多く、さらには前年度投資が低調だったことも影響して前年同期比176.3%の大幅な増加となっている。

 小売業では、低調な個人消費を背景に今期の投資を見送る企業が多かったが、店舗の新築・増改築、営業用の土地取得等、一部で積極的な投資がみられたため、前年同期比44.6%の増加となっている。

 その他(運輸・サービス業)では、前年同期比△74.2%の減少となっている。運輸業では、恒常的な営業車輌の更新以外には特徴的な投資はみられず、必要最低限の投資に抑えられている。サービス業でも、設備更新への投資が大半を占めており、売上の増加やコストの削減を図るための前向きな投資が少なく、前年同期の投資が多かったことによる反動も影響していると思われる。

 

表1 業種別設備投資動向



 

投資内容 業種によりバラツキ

 図1は、設備投資の内容についてみたものである。

 全業種では、「機械・装置」が54.5%、「土地購入・改良」が21.1%、「建物」が16.0%、「構築物」が8.4%の順となっている。例年の傾向と同様に、「機械・装置」の割合がほぼ半数を占めているが、「土地購入・改良」の割合が増加し、「建物」、「構築物」の割合が減少している点が特徴的である。

 業種別にみると、建設業では、「機械・装置」が68.9%でトップ、次いで「土地購入・改良」が29.2%となっている。製造業では、「機械・装置」が66.0%、「構築物」が14.5%、「建物」が13.7%、「土地購入・改良」が5.7%となっている。卸・小売業では、「土地購入・改良」が51.0%、「機械・装置」が28.3%、「建物」が19.9%の順で、業種の特性から「機械・装置」に対する投資割合が低く、不動産に対する投資割合が高くなっている。運輸・サービス業では、「機械・装置」が71.4%、「建物」が21.9%、「構築物」が6.6%の順で、他の業種と比べて「機械・装置」の占める割合が最も高くなっている。



図1 設備投資の内容





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