
特集●平成10年度金融借入実態調査結果
引き続き厳しい経営環境下の県内金融借入事情
この調査は、当センターが毎年実施しているもので、調査対象企業は毎月実施している県内経営動向調査先の1,650企業である。調査時点は平成10年12月31日現在で、回収サンプル数は、640企業(有効回収率38.8%)であった。回答企業の業種別内訳は、建設業107、製造業220、卸売業58、小売業168、運輸・サービス業87となっている。
表1は、過去3年間の事業資金の借入の有無及び借入先についてみたものである。借入したことが「ある」と答えた企業は全体で83.6%と、前回調査の81.1%を2.5ポイント上回った。
これを業種別にみると、卸売業が89.7%、建設業が86.0%、製造業が84.1%、小売業が81.5%、運輸・サービス業が79.3%の企業で借入したことが「ある」としている。
次に借入先についてみると、全体では例年と同様に「銀行」が最も多く、以下「政府系金融機関(国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫等)」、「県の制度融資」、「信用金庫・信用組合」、「市町村の制度融資」、「その他」の順となっている。前回調査との比較では、「銀行」が下回ったのに対し、「政府系金融機関」、「県の制度融資」、「信用金庫・信用組合」、「市町村の制度融資」が上回っている。とりわけ「県の制度融資」については大幅に増加しており、これは緊急経済対策による融資枠の拡大が要因となったものと思われる。
業種別に借入先の特徴をみると、全業種において「銀行」、「政府系金融機関」の割合が高いことは共通であるが、建設業では他の業種に比べて、「信用金庫・信用組合」の割合が高く、製造業では他の業種に比べて、「県の制度融資」の割合が高くなっている。卸売業では「銀行」の占める割合が9割超と非常に高いものとなっており、小売業では「市町村の制度融資」の割合が他の業種に比べて高くなっている。運輸・サービス業では他の業種に比べて、「銀行」の割合が低く、「政府系金融機関」の割合が高い。また、過去3年間に借入しなかった企業は16.4%(105企業)あった。その理由は例年のとおり、「必要がなかった」がトップである。次いで「業績の悪化」、「金融機関等に断られた」、「手続きが面倒」、「保証人がいなかった」となっている。
借入予定先/業種 |
全業種 |
建設業 |
製造業 |
卸売業 |
小売業 |
運輸・サービス業 |
銀行 |
443 |
82.8 |
(83.0) |
86 |
93.5 |
150 |
81.1 |
49 |
94.2 |
111 |
81.0 |
47 |
68.1 |
地元銀行 |
392 |
73.3 |
(72.7) |
77 |
83.7 |
133 |
71.9 |
43 |
82.7 |
97 |
70.8 |
42 |
60.9 |
地元銀行以外 |
51 |
9.5 |
(10.3) |
9 |
9.8 |
17 |
9.2 |
6 |
11.5 |
14 |
10.2 |
5 |
7.2 |
政府系金融機関 |
283 |
52.9 |
(51.3) |
40 |
43.5 |
99 |
53.5 |
26 |
50.0 |
76 |
55.5 |
42 |
60.9 |
信用金庫、信用組合 |
116 |
21.7 |
(10.3) |
22 |
23.9 |
47 |
25.4 |
10 |
19.2 |
21 |
15.3 |
16 |
23.2 |
県の制度融資 |
109 |
20.4 |
(20.2) |
27 |
29.3 |
41 |
22.2 |
8 |
15.4 |
20 |
14.6 |
13 |
18.8 |
市町村の制度融資 |
58 |
10.8 |
(7.8) |
8 |
8.7 |
14 |
7.6 |
7 |
13.5 |
22 |
16.1 |
7 |
10.1 |
ノンバンク |
0 |
- |
(0.5) |
0 |
- |
0 |
- |
0 |
- |
0 |
- |
0 |
- |
その他 |
28 |
5.2 |
(5.2) |
2 |
2.2 |
17 |
9.2 |
4 |
7.7 |
3 |
2.2 |
2 |
2.9 |
借入有りと回答した企業数合計 |
535 |
83.6 |
(81.1) |
92 |
86.0 |
185 |
84.1 |
52 |
89.7 |
137 |
81.5 |
69 |
79.3 |
(注)重複回答のため合計は100%を超える。( )内は前年度比率。
図1−1、1−2は、借入金を設備資金と運転資金の使途(実績)についてみたものである。設備資金では、例年のとおり「機械・器具・什器・備品・車両の購入」が182件(40.4%)でトップ、以下「工場・店舗の設備補修等」が100件(22.2%)、「建物の取得」が82件(18.2%)、「土地の取得」が58件(12.9%)、「従業員福祉施設の設置」が
12件(2.7%)となっている。 運転資金では、これも例年どおり「買掛・手形の決済」が242件(29.3%)でトップ、以下「商品・原材料の仕入」が216件(26.1%)、「給与・賞与の支払」が179件(21.6%)、「諸経費の支払、納税」が128件(15.5%)、「旧債返済・肩代り資金」が56件(6.8%)となっている。

設備資金を利用したことのある企業291社(注)複数回答
図1−1 資金使途(設備資金)<実績> |

運転資金を利用したことのある企業535社(注)複数回答
図1−2 資金使途(運転資金)<実績> |

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