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特集●平成11年景気見通し調査結果

年内の景況感はさらに悪化
経営姿勢はさらに慎重姿勢に


 平成10年の我が国経済は、長引く景気の低迷により家計や企業のマインドが慎重なことから最終的な需要が弱く、その影響により生産や雇用の面で厳しい状況が続いた。
 以上のような厳しい状況をうけ、平成11年の県内景況はどのように推移するのかを知り、企業経営の参考にしていただくため、岩手県産業情報センターは、県内の企業経営者を対象に調査票及び聞き取り調査により「平成11年景気見通し調査」を行った。

 この調査は、当産業情報センターが昭和50年から実施しているもので、県内企業の経営者に新年の景況について予測してもらったものである。調査時点は平成10年11月1日現在、調査対象企業は毎月の経営動向調査を実施している62業種1,650企業で、回収サンプル数は555企業(回収率33.6%)である。業種別の内訳は、鉱業15、建設業81、製造業194、卸売業49、小売業138、運輸業32、サービス業46となっている。
 

売上 引き続き全業種で減少予測

 表1は回答のあった企業の各四半期の売上、収益の伸び率の見通しを単純平均したものである。
 まず、売上の見通しについてみると、全業種平均では、1〜3月期を92.2%、4〜6月期を92.3%、7〜9月期を93.4%、10〜12月期は94.5%と年間を通して「前年を下回る」とみている。
 これを業種別にみると、前年調査に引き続き、すべての業種で「前年を下回る」としている。なかでも建設業では8.9〜13.9%減(前年調査6.8〜10.3%減)と最も大きい減少幅となっており、厳しい予測をしていた前年よりもさらに減少の度合が強まる見通しとなっている。
 

表1 業種別売上・収益見込(前年同期比、単純平均、単位:%)
 

売  上

収  益

1〜3月

4〜6月

7〜9月

10〜12月

1〜3月

4〜6月

7〜9月

10〜12月

全業種

92.2

92.3

93.4

94.5

89.7

89.6

90.7

91.4

鉱 業

93.3

91.6

92.5

94.3

93.3

92.3

95.0

95.3

建設業

91.1

86.1

87.9

89.8

88.9

85.1

85.0

87.4

製造業

91.6

93.3

94.4

95.2

87.2

88.5

89.6

90.2

卸売業

92.0

93.4

94.5

97.1

92.4

93.9

95.2

96.8

小売業

92.6

93.9

94.0

97.1

93.7

92.2

95.1

95.5

運輸業

92.6

93.9

94.0

97.1

93.7

92.2

95.1

95.5

サービス業

90.6

92.1

91.8

91.6

89.0

89.3

89.8

90.5

 

9年連続 収益の減少を予測

 次に収益の見通しについてみると、全業種平均では1〜3月期を89.7%、4〜6月期を89.6%、7〜9月期を90.7%、10〜12月期は91.4%とここでも年間を通して「前年を下回る」とみており、各期を通じ売上の見通しを上回る厳しい予測となっている。また、この収益の見通しは平成3年から9年連続して減少予測となった。
 業種別にみても、「売上の見通し」と同様、すべての業種で「前年を下回る」と予測している。なかでも建設業は売上の見通しに連動し減少幅が11.1〜15.0%減(前年調査9.3〜13.4%減)と最も大きく、次いで製造業が9.8〜12.8%減(同5.6〜7.8%減)と大きい。
 

厳しさ続く資金繰り

 図1は、資金繰りの予測である。全業種では、「苦しくなる」とする企業58.2%(前年調査61.0%)、「楽になる」とする企業7.7%(同5.4%)と前年調査に引き続き「苦しくなる」が「楽になる」を大きく上回っている。資金繰りについても厳しさが続くと予測している。 業種別にみても、すべての業種で「苦しくなる」が「楽になる」を上回っており、とりわけ建設業で71.6%、サービス業で60.9%の企業が「苦しくなる」と予測しているのが懸念される。
 

図1 資金繰りの見通し
図1 資金繰りの予測
 
 

「ベアなし」の割合 大幅に増加

 図2は、ベースアップ予定であるが、全業種では「ベアなし」とする企業が70.8%(前年調査27.7%)と極端に増加している。ここでも売上、収益の見通しに連動し、さらに厳しい見通しとなっている。
 業種別にみると、鉱業で「1.1〜2.0%」の予定が33.3%となっているが、これを除くすべての業種で「ベアなし」が65%を超えている。
 

図2 ベースアップ予定
図2 ベースアップ予定

 

業況 7割が落ち込み予測

 図3は、所属する業界の平成11年度の業況感予測である。全業種において、「落ち込む」とする企業は70.1%、逆に「伸びる」とする企業は7.8%にとどまっている。これは、深刻な状況が長引く県内景況にあって先行きの不透明感が増していることが原因と思われる。

図3 業況の予測
平成11年度業感況予測

 

経営者が考える課題、対策

 図4は、それぞれの企業が、厳しさが増大すると予測した平成11年においての課題ないしは対策としている事項である。これをみると「経費(人件費を除く)の削減」に取り組む予定とした企業が7割を超え最も多く、次いで「顧客満足の向上(納期の厳守、品質向上、欠品防止等)」が5割を超えている。

 
図4 課題・対策としての取り組み予定

図4 平成11年に於いての課題・対策

 

景気回復は平成12年以降?

 図5は、低迷する景況(「平成大不況」)の終了時期について聞いたものである。高い順に「平成12年以降」が48.5%、「終了することなく常態化する」が32.1%で合わせて8割以上が極めて悲観的な見方をしており、平成11年中の景気回復は難しいとしている。

図5 不況終了時期予想
図5 低迷する景況の終了時期

 

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