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特集●平成11年景気見通し調査結果

年内の景況感はさらに悪化
経営姿勢はさらに慎重姿勢に


金融関連対策、支援策を要望

 図6は景気回復のために国・県などで講じてほしい対策である。これを割合の大きい順にみれば「行財政改革の推進」、「金融システムの安定」、「消費税率の引き下げ、あるいは消費税の廃止」となっている。
 また、図7はこの低迷する景況にあって、国等で講じてほしい中小企業支援策である。これをみると、「金融機関の貸付条件緩和、貸付枠拡大」が最も多く、前述の資金繰りについての厳しい予測と関連があるものと推察される。次いで、「減税の対象拡大」、「地場産業の優遇」の順になっている。

 
図6 国・県に講じてほしい対策

図6 国・県に講じてほしい対策
 

図7 中小企業支援策
図7 中小企業支援策
 
 

「高齢化」 市場の変化に与える影響がさらに大きく

 図8は平成11年以降も続くことが予想される「高齢化」、「少子化」、「経済の国際化」が与える影響について聞いたものである。
 「高齢化」、「少子化」については@市場の変化とA雇用状況の変化という二つの側面にわけて聞いているが、市場の変化では83.3%が現在と同程度、もしくはさらに大きな影響を受けるとしており、雇用状況の変化では83.6%が現在と同程度、もしくはさらに大きな影響を受けるとしている。
 「経済の国際化」についても、74.8%の企業が現在と同程度もしくはさらに大きな影響を受けるとしている。  時代のキーワードである「高齢化」、「少子化」、「経済の国際化」は県内企業に少なからず影響を与えており、今後ともその傾向は顕著になることが予測される。

「高齢化」「少子化」市場の変化 「高齢化」「少子化」雇用状況の変化

経済の国際化
  
 

売上・収益 全地域で厳しい予測

 表2県内広域生活圏別の売上・収益見込をみたものである。
 まず、売上についてみると年間を通して「前年を上回る」と予測しているものは皆無である。前年調査では釜石・遠野地域において7〜9月期と10〜12月期の2四半期間にわたって「前年を上回る」としていたが、今回の調査では全地域において、年間を通して「前年を下回る」という予測となった。 収益についても、全地域において、年間を通して「前年を下回る」という予測となった。また、製造業非製造業を比較してみれば、二戸地域の非製造業において1〜3月期と4〜6月期、7〜9月期の3四半期間において、「前年を上回る」と予測しているのが目につく。
 

表2 広域生活圏別売上・収益見込(前年同期比、単純平均、単位:%)
 

売  上

収  益

1〜3月

4〜6月

7〜9月

10〜12月

1〜3月

4〜6月

7〜9月

10〜12月

盛 岡

 

91.5

91.4

92.3

94.3

89.3

88.8

90.0

91.9

製 造

89.8

88.3

90.2

92.1

85.7

84.5

86.0

87.7

非製造

92.9

94.1

94.1

96.1

92.4

92.5

93.5

95.4

岩手中部

 

90.0

90.4

92.6

93.7

86.6

86.3

87.8

88.8

製 造

87.1

88.1

89.6

91.9

83.0

83.3

83.6

85.4

非製造

93.4

93.1

96.3

95.9

90.8

90.0

92.7

93.0

胆 江

 

90.9

89.7

91.7

93.5

86.9

87.0

87.6

89.4

製 造

90.8

89.0

92.0

94.3

86.3

86.0

87.2

89.6

非製造

91.0

90.8

91.1

92.2

87.9

88.5

88.2

89.1

両 磐

 

94.1

93.8

93.6

94.6

88.9

88.5

88.9

89.2

製 造

95.5

93.7

94.1

94.2

89.8

88.5

88.6

89.1

非製造

91.6

93.8

92.9

95.2

87.4

88.5

89.3

89.4

気 仙

 

93.8

94.7

96.1

98.1

93.4

95.0

96.7

97.2

製 造

91.7

93.2

95.5

98.8

92.6

93.9

95.2

98.3

非製造

95.6

96.1

96.8

97.5

94.2

96.0

98.0

96.2

釜石・遠野

 

92.5

92.1

92.8

92.3

91.6

90.3

91.6

91.3

製 造

94.5

92.6

91.7

91.0

93.3

91.3

92.9

92.7

非製造

91.3

91.8

93.5

93.1

90.5

89.7

90.8

90.5

宮 古

 

94.3

95.4

96.6

97.1

92.1

93.3

94.7

95.5

製 造

93.5

95.1

95.4

95.6

90.4

92.2

92.8

93.5

非製造

95.6

95.9

98.4

99.5

94.9

95.2

97.7

98.8

久 慈

 

93.9

95.9

95.9

96.4

90.4

91.5

92.4

92.1

製 造

94.1

96.3

95.4

95.4

90.7

92.1

92.1

91.6

非製造

93.8

95.5

96.5

97.5

90.0

90.7

92.7

92.7

二 戸

 

94.3

96.6

95.3

93.3

98.4

99.2

98.9

91.3

製 造

96.5

99.2

98.5

94.2

94.2

95.0

95.0

88.8

非製造

90.0

91.7

89.3

91.4

106.1

106.9

106.1

95.7

 

さらに慎重な経営姿勢に

 最後に、本調査の精度を高めるため併行して実施した、県内企業約80社からの面接調査の結果をまとめてみると、全業種において、「経費の節減」に関するものが多くなっている。「今までに経験したことのない不況が続いている」との声も聞かれ、景況の先行きがまったく予想できないという現状において、さらに慎重な経営を維持しなければならないという企業経営者側の苦しい胸のうちが察せられる。
 懸念材料としては、製造業、非製造業に共通して「売上・受注の減少」に関するものが多く、製造業においては、「単価の下落」や「資金繰り問題の深刻化」など、非製造業では「大型店の出店による競争の激化」や「単価安による収益の低下」などが挙げられている。

 

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