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特集●平成10年度下期県内法人企業設備投資計画調査結果(PART1)
 

投資額 前年同期比15.1%減
投資計画のない企業 大幅に増加


 この調査は、当産業情報センターが岩手県商工労働観光部の委託を受けて半年ごとに実施しているものであり、調査時点は8月31日現在である。なお今年度より調査対象時期を半年先に変更したため調査結果は平成10年度下期分(10年10月〜11年3月)の数値となっていることをご留意願いたい。
 調査対象企業は、建設業、製造業では従業員80人以上、卸売業、小売業、運輸業、サービス業は40人以上の主要法人企業500社。回収調査票から記入不備分を除いた回答企業数は215社で、有効回収率は43.0%だった。この業種別内訳は、建設業37社、製造業87社、卸売業22社、小売業22社、運輸・サービス業47社となっている。
投資額 前年同期比15.1%減
 表1は、回答のあった215企業の業種別設備投資動向(支払ベース)を示している。これによると平成10年度下期における設備投資計画の総額は117億5,726万円で、深刻な状況が続く県内景況を反映し前年同期比△15.1%の減少となった。一方、対前期比でも△32.2%の減少となっている。

 業種別にみると、建設業では、前年同期比△69.8%と大幅な減少となっている。これは、このところ続く工事高の減少傾向から、設備投資に対し慎重な姿勢を強めている企業が増加したためと思われる。
 
 製造業では、業種によるバラツキがみられるものの、全体では前年同期比△11.5%の減少となっている。個別業種ごとにみると、前年同期比減少となったのは、木材・木製品、パルプ・紙・紙加工、出版・印刷、窯業・土石、機械、精密である。このうち、機械と精密は前年度の工場新設等の反動により△90%以上の大幅減になっている。また出版・印刷も前年度に建物新設等の設備があったため△67.9%の減少となっている。木材・木製品も同様の理由から△64.4%の減少となっている。窯業・土石、パルプ・紙・紙加工も前年度に工場用地取得、機械設備があったため減少となっている。
 
 一方、前年同期比増加となったのは食料品、化学、鉄鋼、金属、電気である。中でも食料品は一部企業の用地取得および営業所建設への大型投資が業種全体に影響し前年同期比1,112.6%の大幅増加となった。鉄鋼でも一部企業の機械・装置への大型投資があり前年同期比341.7%とこれも大幅増加となった。また金属は機械・装置への投資があり前年同期比156.5%の増加となった。また電気も機械・装置への投資があり前年同期比30.8%の増加となった。また化学も設備の補修・更新を中心に投資額は堅調に推移し、前年同期比14.6%の増加となった。
 卸売業では、車輌の更新が設備投資計画の大半を占めた。反面、厳しい景況を反映してかそれ以外の部門への積極的な投資が見られず前年同期比△91.6%と大幅な減少となった。
 
 小売業では、競争激化に対応した店舗、営業所の新築・増改築、営業用土地取得等、一部積極的な投資もみられるが、低調な個人消費により今期の投資を見合わせる企業が多かった。ただし、全体では一部企業の大型投資が影響し前年同期比22.4%の増加となった。
 
 その他(運輸・サービス業)
では、前年同期比22.4%の増加となっている。運輸業では、恒常的な営業車両更新のほかに倉庫の新設等の投資が見られた。サービス業では、投資件数のほとんどが設備更新であったが、投資金額では一部企業に店舗新築や機械・装置への投資があり、それが結果的に全体の数値を押し上げた形となった。
 

表1 業種別設備投資動向(単位:千円、%)

年度   9年度上期 9年度下期 10年度上期 10年度下期
業種 企業数 投資額 投資額 前期比 投資額 前期比 前年比 投資額 前期比 前年比
全 産 業 215 14,799,856 13,841,991 -6.5 17,342,730 25.3 17.2 11,757,261 -32.2 -15.1
建 設 業 37 803,057 1,576,100 96.3 586,937 -62.8 -26.9 475,930 -18.9 -69.8
製 造 業 87 10,557,262 9,550,972 -9.5 14,128,646 47.9 33.8 8,450,595 -40.2 -11.5
食料品 15 717,515 168,452 -76.5 1,973,889 1071.8 175.1 2,042,586 3.5 1112.6
繊  維 4 6,526 0 -100.0 840

-

-87.1 4,000 376.2

-

木材・木製品 4 448,183 176,093 -60.7 41,156 -76.6 -90.8 62,684 52.3 -64.4
パルプ・紙・紙加工 3 344,123 1,010,276 193.6 326,476 -67.7 -5.1 574,180 75.9 -43.2
出版・印刷 4 58,971 361,280 512.6 514,875 42.5 773.1 116,090 -77.5 -67.9
化  学 6 3,906,906 2,253,673 -42.3 4,714,000 109.2 20.7 2,582,000 -45.2 14.6
窯業・土石 9 3,327,350 4,005,241 20.4 4,270,196 6.6 28.3 1,914,686 -55.2 -52.2
鉄  鋼 5 179,050 53,500 -70.1 108,240 102.3 -39.5 236,300 118.3 341.7
金  属 6 133,710 46,785 -65.0 117,100 150.3 -12.4 120,000 2.5 156.5
機  械 10 458,026 787,751 72.0 449,386 -43.0 -1.9 66,800 -85.1 -91.5
電  気 16 861,298 554,290 -35.6 687,313 24.0 -20.2 725,269 5.5 30.8
精  密 5 115,604 133,631 15.6 925,175 592.3 700.3 6,000 -99.4 -95.5
卸売・小売・その他 91 3,439,537 2,714,919 -21.1 2,627,147 -3.2 -23.6 2,830,736 7.7 4.3
卸  売 22 35,459 407,153 1048.2 34,362 -91.6 -3.1 34,000 -1.1 -91.6
小  売 22 2,153,058 1,383,858 -35.7 1,376,168 -0.6 -36.1 1,693,890 23.1 22.4
運輸・サービス 47 1,251,020 923,908 -26.1 1,216,617 31.7 -2.7 1,102,846 -9.4 19.4

 

投資内容 業種によりバラツキ

 図1 は、設備投資の内容についてみたものである。
 
 全業種
では、「機械・装置」が45.0%(前年同期調査59.2%)、「建物」が25.9%(同25.0%)、「土地」が22.2%(同12.1%)、「構築物」が6.9%(同3.7%)の順となっておりほぼ前年と同様となっているが、「機械・装置」の割合が減り、「土地」の購入の割合が増加した点が特徴的である。
 
 業種別にみると、建設業では、順位は前年と変化はなく割合もほぼ前年どおりの傾向を示している。製造業では、前年7割強を占めた「機械・装置」の割合が5割強に減少した。また「建物」の割合が増加し「土地」と入れ替わった点が特徴的である。卸・小売業では、「土地」の占める割合が全体の半数を超えてトップとなり例年割合の高い「建物」を抜いた点が特徴的である。その他(運輸・サービス業)では、「機械・装置」がトップとなり卸・小売業と同様に「建物」を抜いた点が特徴的である。 

 
図1 設備投資の内容(単位:%)

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高まる「本社調達」の割合

 次に、資金計画(設備投資資金の調達計画)についてみたのが図2である。全業種では、「借入金」が43.4%(前年同期調査49.5%)、「内部留保」41.8%(同46.3%)、「その他」14.8%(同4.2%)、「増資」0.0%(同0.1%)の順となっている。この順番は前年同様であり、「借入金」、「内部留保」の割合が前年より減少し「その他」の割合が増加している。「その他」の内訳は「本社調達」が大半を占めている。
 
 業種別にその内訳をみると、建設業では、順位は変わらないが「内部留保」の割合が前年度の20.5%から28.1%と増加し、その分「その他」が減少した。製造業では、「内部留保」の割合が52.4%と唯一5割を越えており借入依存度が最も低い。卸・小売業では「借入金」の割合が93.4%と大半を占め、全業種中もっとも高い。その他(運輸・サービス業)は「借入金」の割合が50.4%と全体の半数を超えている。

 
 図2 資金計画(単位:%)

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