1101 (1).gif (8499 バイト)
 

進むダウンサイジング
利用増すインターネット


 先の月例経済報告によれば、最近の我が国経済は「岩戸景気」以来の長さで回復基調にあるとしているが、企業としても個人としても今一つ実感が薄いとの評価が一般的である。このような景況にありながらも、本県中小企業におけるコンピュータの導入は停滞することなく増え続けており、その割合は70.3%に達していることが、当情報センターの調査で明らかになった。
 この調査は、調査時点が平成9年5月1日現在で、調査対象企業は当センターが毎月実施している経営動向調査の対象企業1,650社である。回収サンプル数は532社(回収率32.2%)である。回答企業の業種別、従業員規模別、年間売上高別の構成割合は表1のとおりである。

 

コンピュータ、小規模企業にも浸透

 図1は、コンピュータを導入している企業、導入する意思のある企業、導入意思のない企業について、83年から97年までの推移を表している。導入している企業の割合は、当初4社に1社に満たなかったが、13年余りを経た今回の調査では10社に7社となった。また、当初半数を超えていた導入意思のない企業の割合は、その後低減を続け、今回の調査では5社に1社となった。

ChartObject 図1 導入状況の推移

 

 表1は、コンピュータの導入、未導入の状況を業種別等で表している。まず業種別では、平均を超えているものは建設業、鉱業卸売業、製造業であり前回とほぼ同じ結果となっている。従業員規模、売上高規模別では、その規模が大きくなっていくに従い導入率が高くなっており、「10人〜19人」規模以上では全て平均を上回っている。前回の調査で平均を上回っていたのは「20人〜29人」規模以上であったので、より小規模な企業にまでコンピュータが浸透してきていることが窺われる。また、売上高規模別においても「2.5億円以上〜5円未満」規模以上で平均を上回っており、同様のことがいえる。

表1 回答企業の内訳

 

また、図2は導入意思のない企業の理由を表している。前回と同様小規模な企業を中心に「必要としない」が大半を占め、次いで「効果が期待できない」等となっている。

ChartObject 図2 導入する意志がない理由

 

進むパソコン化 増えるEOS

図3は、使用しているコンピュータの種類である。この設問は前回の調査からであるが、汎用機とオフコンが減少し、かわってパソコンが増加し、ダウンサイジングが進行している。また、POSが微減した反面、EOSとCAD/CAMが増加しているのが目に付く。


ChartObject 図3 使用しているコンピュータの種類

 

 図4は、導入の目的を91年からの時系列でみたものである。「事務量の増大に対処」と「計数把握」がほぼ同じ割合で最多であるが「事務量の・・・」は増加の傾向にある。ついで「正確な情報入手」の順になっている。  また、業種別に賃上げ状況を比較しても、製造業の一部で未組織企業が労組所有企業を上回るものがみられるが、全般に賃上げ率、賃上げ額とも労組所有企業が上回っている。

ChartObject 図4 導入目的

 

図5は、導入目的に対応する導入の効果を91年からの時系列で表している。「事務作業の迅速化」「計数把握の向上」が他の効果に比べ抜きん出て多く、「顧客サービスの向上」等は20%以下の割合となっている。中でも「資料・情報の収集力」が91年には30数%もあったものが、確実に減少してきているのが目立つ。

ChartObject 図5 導入効果の推移

 

進展するネットワーク化

 次いで図6は、コンピュータ化している業務の状況を表している。「販売管理」が唯一65%を超えてトップで、続いて「給与計算」と「財務会計」が50%を超えている。特に「給与計算」は91年当時は50%に満たなかったが、今や60%に近づく勢いである。

ChartObject 図6 コンピュータ化業務の推移

 

図7は、前回から調査しているパソコンの使用形態を表している。「LAN」「スタンドアローン」とも前回とほとんど変わらないが「社外ネットワーク」はほぼ2倍に増えており、ネットワーク化進展の一端が窺われる。

 ChartObject 図7 パソコンの使用形態

 

図8は、コンピュータを導入した企業を、業種別に「活用している企業」(以下「活用企業」と略称)と「活用していない企業」(以下「非活用企業」と略称)に分け、その状況を調べたものである。全体では77.5%(前回77.8%)が活用しているとし、17.1%(同17.2%)が活用していないとしており、この割合は前回の調査とほとんど変わっていない。業種別では卸売業がずば抜けて活用企業の割合が高く、製造業、鉱業でも平均を超え、建設業が平均的である。逆に小売業と運輸・サービス業では平均より低くなっている。

ChartObject 導入企業の業種別活用状況  1995年
 
 

 

要員の確保・教育を最重点に

 図9から図13ではいずれも「活用企業」と「非活用企業」とに分けて、調査結果を表している。まず、図9であるが、導入にあたって事前に検討した項目を表している。活用企業と非活用企業で順位では逆であるが、いずれも「導入の必要性の明確化」「コンピュータ化する業務の選定」が断然多く、次いで「使用するソフト」の順になっている。これほど割合は高くないが、活用企業と非活用企業の間で「導入機種・メーカーの選定」「事務手続きや帳票の変更」では10ポイント前後の差があるのが注目される。

ChartObject 図9 導入時の事前検討事項

 

図10は、導入後に生じた問題点をきいたものである。活用企業の場合「特に問題がない」のは当然であるが、それでも「経費がかかりすぎる」「ソフト会社の支援が不十分」等の問題が生じている。非活用企業の最大の問題点は「要員が適正に対応できない」であり、活用企業との差は16ポイントもあり、コンピュータ導入時における要員確保の重要性を認識させられる。

ChartObject 図10 導入後に生じた問題点

 

ソフト入手 避けたいソフト会社一任

図11は、コンピュータの導入時において最も重要な「要員確保の方法」を表している。活用企業、非活用企業とも一番割合が高いのは「社員から活用」である。また、「考えない」は別にしても、いずれの方法でも活用企業の割合が高いが、特に「ソフト会社に派遣」は大差で活用企業が高く、この方法による要員確保の有効性がみてとれる。


ChartObject 図11 要員確保の方法

 

図12は、「今後コンピュータを導入する企業へのアドバイス」である。活用企業、非活用企業とも「コンピュータ化する業務の検討」「専門家のアドバイス」が上位の二つであるが、非活用企業での「要員の確保・教育」が高いのが特徴的であり、ここでも要員確保の重要性があらためてわかる。

ChartObject 図12 今後導入する企業へのアドバイス

 

図13は、ソフトの入手の方法である。活用企業において「自社開発」「カスタマイズ」といずれもより費用を要する入手方法の割合が高いことがわかる。逆に、若干ではあるが「ソフト会社に一任」は非活用企業での割合が高く、この方法だけによる導入には不安要因があることを窺わせる。

ChartObject 図13 ソフト入手の方法

 

意外に高いインターネット利用

図14は、今回初めて調査項目とした「インターネットへの取組状況」を示している。「利用している」と「利用を検討している」を合わせれば50%を超え、予想を上回る高さは特筆に値する。なお、この割合はあくまでも「コンピュータを導入している企業」におけるものであるので、その点を留意して理解いただきたい。

図14 インターネットへの取り組み

ChartObject 図14 インターネットへの取り組み
 

戻る