景気見通し調査結果(1/3)
特 集●平成14年景気見通し調査結果


売上げ・収益見通し 年間を通じマイナス
業況予測 8割の企業が「落ち込む」と予測

 当いわて産業振興センターでは、県内中小企業の「平成14年景気見通し」についてのアンケート調査を本年度も実施した。この結果、平成13年を基準とし、「売上げ」「収益」ともにマイナスの見通しとなっており、「業況」については80.7%の企業が「落ち込む」と予測している。

 この調査は、当センターが昭和50年から実施しているもので、県内中小企業が平成13年の実績等から本年の景気を予測したものである。調査時点は平成13年11月1日、対象企業は毎月当センターが実施している経営動向調査先66業種、1、503企業である。
 回収数564企業(回収率37.5%)、うち有効回答数は518企業であった。
有効回答企業の業種別内訳は、鉱業13、建設業77、製造業160、卸売業52、小売業133、運輸業33、サービス業50である。

売上・収益とも下回る見通し

 図1は、平成14年の業種別四半期ごとの売上・収益見通し(平成13年を100%とする)である。
 売上見通しは、全業種平均で1〜3月期90.4%、4〜6月期90.8%、7〜9月期91.4%、10〜12月期92.6%と、各期とも前年を下回るとしている。これを業種別にみると、下げ幅が大きいのは鉱業(1.5〜-13.5)、建設業(-8.3〜-12.2)、製造業(-8.3〜-13.8)の3業種であり、最も下げ幅が小さいのは卸売業(-3.1〜-6.4)である。
 また、収益見通しも、全業種平均で1〜3月期87.7%、4〜6月期88.5%、7〜9月期89.1%、10〜12月期88.6%とすべて前年を下回るとしている。
 これを業種別にみると、売上げの見通しと同じく、下げ幅が大きいのは鉱業(-5.0〜-24.6)、建設業(-12.5〜-15.2)、製造業(-10.4〜-15.9)の3業種であり、最も下げ幅が小さいのは卸売業(-5.2〜-8.1)である。
表1

資金繰り 68.9%が「(やや)苦しくなる」

 図1資金繰りの見通しについてみたものである。全業種では「苦しくなる」(「やや苦しくなる」を含む)とする企業が68.9%となり、例年に増して厳しい予測となっている。以下、「今年と変わらない」26.3%、「楽になる」(「やや楽になる」を含む)4.0%となっている。
 これを業種別にみると、全ての業種において6割超の企業が「苦しくなる」(「やや苦しくなる」を含む)としており、特に運輸業(85.7%)と建設業(74.0%)が厳しい見通しをしている。
図1

ベースアップの有無 
61.8%の企業が「予定なし」

 図2ベースアップ予定の有無についてみたものである。全業種では「ベアなし」とする企業が61.8%(前年調査38.0%)、「ベアあり」6.2%(同18.1%)、「現段階ではどちらともいえない」32.0%(同43.9%)となっている。現状で「ベースアップをしない」とする企業が全体の6割超となっており、厳しい見通しであることがここでも窺われる。
 業種別にみると、「ベア予定なし」とする割合が最も高いのは運輸業の70.6%であり、以下、サービス業63.6%、小売業62.5%、製造業62.3%等となっている。
図2

業況 80.7%が「落ち込む」と予測

 図3は平成14年の各所属業界における業況の予測についてみたものである。全体では「かなり(10%以上)落ち込む」とする企業が47.2%と最も多く、「やや(10%未満)落ち込む」33.5%と合わせると、全体で8割超の企業が「落ち込む」と予測している。以下、「今年と変わらない」14.1%、「わからない」2.5%、「やや(10%未満)伸びる」2.3%、「かなり(10%以上)伸びる」0.5%となっている。
図3

 図4今後の課題・対策として取り組む事項についてみたものである。「経費削減」が71.9%と最も多く、以下、「顧客満足の向上」46.6%、「人件費の削減」37.6%、「仕入・外注先の見直し」25.4%、「社員の高度教育」22.0%、「不採算部門の見直し」21.5%等となっており、現有の資源にて苦境を乗り越えようとする企業の努力が窺われる。
図4

 図5は各所属業界の景気回復時期の見通しをみたものである。「回復せず常態化」とみる企業が50.6%と半数を超えている。「わからない」とする企業も28.9%と高い割合となっており、景気回復の見通しが見えない現状が窺える。
図5



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