情報化企業の紹介(2/3)
特集●情報化企業の紹介


(2)システムの概要
 受注売上管理システムは、受注から鋳造・加工・塗装・出荷・売上の業務の情報化を実現している。
 その仕組みは、まず受注データをコンピュータ入力し、ライン別納期順に生産予定を作成する。これらの受注状況や生産予定情報は、LANにより現場事務所で確認することができる。鋳込みが完了すると鋳込み完了入力を行い、これにより管理ポイントの進捗状況を管理し、ダブル鋳造ミスを防止する。
 出荷時には出荷データを入力する。これにより受注残の管理をするとともに、売上を計上して売掛管理を行う。

1. 受注管理
 受注時に受注データを入力する。受注ファイルから外注手配や内作の手配のために必要な各種の予定表を作成し、管理者の意思決定を支援する。
  また、受注ファイルより出荷予定一覧表を出力して出荷作業を効率化する。なお、この受注入力処理で、受注情報の登録とともに作業手配のための情報を入力する。一部の得意先については、受注入力後直ちに納入予定表を作成し、メールにて報告することも可能となった。

2. 技術情報管理
 各種の台帳など生産管理の基本情報を登録する。
・得意先登録
・製品登録
・外注先登録
・ライン名登録
など

3. 作業工程管理
 ライン別納期順受注一覧やライン別得意先別生産予定一覧を作成して、製造現場管理者の作業指示を支援する。また、鋳込み完了日を入力することにより製品別の進捗管理を実施する。

4. 出荷管理
 出荷予定一覧表により出荷作業を行う。出荷時には、出荷情報を入力し、受注残の管理をする。

5. 売上管理
 出荷情報を入力することにより売上計上する。この情報をもとに得意先の締め日毎に請求書を発行し、入金処理により売掛金を更新する。

[ 図 2 ] 受注売上管理システムのメインメニュー

[ 図 3 ] 受注入力処理の入力画面

(3)システムの開発実績
 当システムは、ユーザーとシステム開発企業との絶妙な組み合わせによって開発された。まず、当社が、必要とする機能をはっきりと要件定義した。これに基づきシステム開発企業が、システム設計しACCESSデータベースを使用してVBAによりプログラムを作成した。このように外部の力を借りて予定どおりシステ開発できたのは、システム構築作業の役割分担を明確にして、各分担作業を両者が確実に果たしたからである。

1.システム開発の実績
 当社とシステム開発企業の共同作業は次の日程で実施された。
・1999年4月〜6月
 要件定義
(作業担当は主にユーザー)
・1999年5月〜9月
 システム設計およびプログラミング
 (作業担当はシステム開発企業)
・1999年9月〜10月
 テストおよび移行作業
 (作業担当は主にユーザー)
・1999年11月
 本稼動スタート

2.開発費用
・ハードウェア  1,100,000円
 (内訳)
 パソコン   5台
 サーバ    1台
 プリンター  1台
 LAN用各種部品
・ソフトウェア(受注売上管理システム)
 680,000円

(4)システムの特徴
 このシステムは、鋳物工場の運営に基本的に必要とする機能に的を絞った生産管理情報システムである。その特徴は、自社で企画し(必要な機能をまとめ)、プログラム開発をアウトソーシングして、安い費用で情報化を実現したところにある。

1.コンパクトなハードウェア構成
 図4のLANシステム構成図に示すとおり、管理部門と現場事務所を簡易LANで結んだコンパクトなハードウェア構成になっている。

2.必要な機能に的を絞った情報システム化
 図5の受注売上管理システムプロセスフローに示すとおり、受注から作業指示・加工・出荷・入金に至る各処理において、必要以上のデータ収集を極力おさえた管理ポイントのみのデータの入力・情報の出力が実現している。

3.アウトソーシングによる安い開発費用での情報化の実現
 図6のとおり、情報システムの開発ステップは、要件定義、システム作成、システム運用の3段階に分けられる。このシステムは、要件定義を自社で行い、外部の委託先にシステム開発をアウトソーシングする方法で開発された。
 そのため、安い費用で開発ができ、さらに自社で開発要員を養成したり、システム開発後に発生するコンピュータ技術者の処理問題など本業以外の難しい問題を回避できた。




図6





| 前のページへ |   | 次のページへ |

目次に戻る