景気見通し調査

特集●平成12年景気見通し調査結果

「売上」、「収益」ともマイナスを予測
特に「収益」は10年連続でマイナス


 平成11年の我が国経済は、景気対策の下支え効果に加え金融危機を脱したこと等によりゆるやかな改善が続いているが、本格的な景気回復にはほど遠いものであった。そのような中にあって、県内景況も、一部業種に明るさが見え始めたものの、全業種的な広がりには至らなかった。
 以上の状況を受け、平成12年の県内景況はどのように推移するかを知り、企業経営の参考にしていただくため、岩手県情報研修センターは、県内の企業経営者を対象に書面調査及び聞き取り調査により「平成12年景気見通し調査」を行った。

 この調査は、当情報研修センターが昭和50年から実施しているもので、県内企業の経営者に本年の景況について予測してもらったものである。
 調査時点は平成11年11月1日現在、調査対象企業は毎月の経営動向調査を実施している62業種1,650企業で、回収サンプル数は457企業(回収率27.7%)である。業種別の内訳は、鉱業10、建設業77、製造業154、卸売業43、小売業104、運輸業27、サービス業42となっている。
 

売上 建設業の減少予測目立つ

 表1は回答のあった企業の四半期ごとの売上、収益の見通しである。
売上の見通しについてみると、全業種平均では、1〜3月期を96.2%、4〜6月期を96.7%、7〜9月期を96.6%、10〜12月期を98.1%と年間を通して「前年を下回る」とみている。
 これを業種別にみると、建設業の減少幅は6.1%〜9.7%(前年調査8.9〜13.9%)で全業種中もっとも大きい。一方、鉱業及び運輸業の10〜12月期はそれぞれ103.5%、100.0%となり「前年を上回る」ないしは「前年並」の見通しとなっている。

表1 業種別売上・収益見込

収益 依然厳しい状況が続く

 収益の見通しについてみると、全業種平均では、1〜3月期を93.7%、4〜6月期を94.1%、7〜9月期を94.2%、10〜12月期を95.2%とここでも年間を通して「前年を下回る」とみており、依然厳しい状況が続く見通しとなっている。また、この収益の見通しは平成3年から、10年連続して減少予測となった。
 これを業種別にみると、全業種で「前年を下回る」と予測している。中でも建設業の減少幅は9.8〜14.0%(前年調査11.1〜15.0%)で全業種中もっとも大きく、売上以上の減少が予測される。
 

資金繰り 改善見られず

 図1資金繰りの予測である。全業種では、「苦しくなる」(「やや苦しくなる」を含む)とする企業46.3%(前年調査58.2)、「楽になる」(「やや楽になる」を含む)とする企業9.7%(同5.4%)となり、前年調査同様「苦しくなる」が「楽になる」を大きく上回っている。資金繰りについても厳しさが続くと予測している。
 これを業種別にみると、すべての業種で「苦しくなる」が「楽になる」を上回っており、そのなかでも鉱業の60.0%、建設業の58.5%が「苦しくなる」と厳しい予測をしている。
 

図1 資金繰りの見通し

「ベアなし」7割を超える

 図2は、ベースアップの予定であるが、全業種では「ベアなし」とする企業が71.1%(前年調査70.8%)と昨年同様7割を超える。ここでも売上、収益の見通しに連動し、厳しい見通しとなっている。
 業種別に「ベアなし」の割合を見ると、鉱業の50.0%、製造業の65.6%を除き全業種で70%を超えている。特に運輸業は81.5%と高い値となっている。
  

図2 ベースアップ予定

業況感 若干改善

 図3は、所属する業種の平成12年の業況感予測である。全業種平均では、「落ち込む」(「やや落ち込む」を含む)とする企業は56.0%(前年調査70.1%)、逆に「伸びる」(「やや伸びる」を含む)とする企業は11.4%(同7.8%)と予測され、前年調査に比較していくぶん改善が見られた。
 

図3 業況の予想

 

経営者が取り組む課題、対策

 図4は、それぞれの企業が平成12年においての課題ないしは対策として取り組む事項である。これをみると「経費(人件費を除く)の削減」に取り組む予定とした企業が7割弱あり、優先的な課題となっている。次に「顧客満足の向上(納期の厳守、品質向上、欠品防止等)」が5割を超えている。
 

図4 課題・対策としての取り組み予定

 

景気回復に悲観的見方

 図5景気の回復時期について聞いたものである。「終了することなく常態化する」が33.0%と最も多く、次いで「平成13年以降」が24.7%あり、合わせて5割以上が悲観的な見方をしている。本年中は15.3%しかない。
 

図5 景気回復時期

 

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