景気見通し調査

特集●平成12年景気見通し調査結果


国・県への要望、中小企業支援策

 図6は景気回復のために国・県などで講じてほしい対策である。「行財政改革の推進」「金融システムの安定」「所得税の軽減」がそれぞれ4割を超えている。
 図7は景気回復のために国・県などに具体的に講じてほしい中小企業支援策である。「金融機関の貸付条件緩和・貸付枠の拡大」が最も多く、資金繰りの厳しさと関連するものと思われる。以下、「減税の対象拡大」「地場産業の優遇」が続いている。
 

図6 国・県に講じてほしい対策


図7 中小企業支援策


「環境」への取組み、産業廃棄物削減6割超

 図8「環境」への取組みを聞いたものである。「積極的に取り組んでいる」「やや取り組んでいる」を合わせて6割を超え、「取り組んでいない」の2割を大幅に上回り環境重視の姿勢が窺える。
 図9は「環境」へ取り組んでいる企業に対して具体的な取組みを聞いたものである。最も多いのが「産業廃棄物の削減に努めている」で6割を超え、次に「再資源化に取り組んでいる」が2割で続いている。
 

図8 「環境」への取り組み

図9 「環境」への具体的取り組み


売上 二戸地域に回復の兆し

 表2県内広域生活圏別の売上、収益の見通しである。
 まず、売上についてみると「前年を上回る」ないしは「前年並」と予測しているのは二戸地域の全期間及び釜石・遠野地域の1〜3月期、4〜6月期、10〜12月期の3四半期となっている。前年調査では「前年を上回る」とした地域はなかったが、今回の調査では地域によっては幾分景気回復の兆しが見られる結果となった。   
 収益は「前年を上回る」と予測している地域はなく、収益に関しては特に厳しさが窺える。その中で製造・非製造の別で見ると、胆江地域の製造で1〜3月期、7〜9月期10〜12月期の3四半期、及び釜石・遠野地域の製造で1〜3月期、7〜9月期の2四半期で「前年を上回る」と予測しているのが目につく。
  

表2 広域生活圏売上・収益見込み

 本調査は書面で実施したほか、企業経営の具体的参考となる事項を聴取し本調査を補完することを目的に、9地域56社の経営者を対象に面接調査(調査項目は本年の売上、収益の見通しとその具体的理由など)を実施しましたので、その結果のうち地域特性、業種特性を反映していると思われるコメントを紹介します。


企業経営者コメント紹介
地区 内容
盛岡 ●同業者の情報を総合すると売上は上半期減、下半期増とみている。(建設業)●今年の見通しは立たないが、下水道工事に期待。(建設業)●新幹線関連工事は平成15年をピークとして伸びが予想されるが、他の工事の落ち込みがあり売上は前年並。(建設業)●売上は従来5〜6年周期で増減があり、それなりに見通しをつけれたが今年は難しい。(製造業)●DVD関連は、企業間格差が見られるものの全般的に受注が増加しそう。(製造業)●首都圏、関東圏は景気回復感が見受けられるが、県内企業は依然厳しく昨年並の売上確保は難しい。(サービス業)
岩手中部 ●営業管内に大手スーパーが5社進出するが、衛生管理を徹底し他社との差別化を図る。(小売業)●マグネ部門を中心に前年並の売上を目指す。(製造業)●自社を含めトラック部品を下請生産する業界全体の業績安定のため、トラック製造業界の再編成が必要ではないか。(製造業)
胆江 ●公共事業増加により売上10%増加。(建設業)●売上10%減になる見込だが、資材仕入単価コスト圧縮により、利益前期並確保。新卒者を育てる余裕がなく、即戦力を募集。(建設業)●売上は前期、前々期の最悪期を脱し5%増を見込む。地元企業倒産の影響がまだ残っており、後遺症の表面化が懸念される。(製造業)●売上・利益ともに5%増加。「蔵の街」江刺への観光客の波及効果は出ていない。(製造業)●貨物倉庫新設により売上1%増加する見込だが、倉庫新設分の金利負担増加により利益5%減。(運輸業)
両磐 ●市内中心部の店舗閉鎖が目立つが、貸店舗を募集しても家賃が高くテナントが埋まらない状態。(小売業)●売上は新店舗開設により5%増加し、利益も人件費削減により3%増加。多店舗展開を行いながら、一方不採算の店は閉じる等して質への転換を図る。(小売業)
気仙 ●売上・利益ともに公共事業の減少により15%落ち込むが、今後の入札条件になるかもしれないISO9000取得には取り組む。(建設業)●売上・利益それぞれ10%の落ち込む見通しであるが、そんな状況だからこそ金融機関と連携をとりながらデビットカード導入に取り組む。(小売業)
釜石・遠野 ●三陸縦貫道工事の関連で土地の買収が活発であり、住宅着工の増加に期待している。(建設業)●売上・利益前期比微増であるが、その中にあって現在HACCPへの対応を計画中。(製造業)
宮古 ●売上は発注の減少により厳しい見通し。そのような状況にあって、再生骨材の導入、オンライン入札への対応、ISO9000への取組みが求められる。(建設業)●サケ、サンマの不漁により年初は厳しい。設備はHACCPへの対応を予定しているが、人員は1割程度の削減を予定。(製造業)●売上・利益はクリーニング部門の導入により期待できる。ギフトや薬局部門への進出を考えている。(小売業)
久慈 ●現在、従業員は60名であるが、最終的にはこの業種・業態の最適正規模である100名まで増やしたい。今年をその第1年度と位置付けて頑張りたい。(製造業)●マーケットは横ばい予想であるが、効率的な仕入を行い、価格面で目玉商品を設定し集客に努める。(小売業)
二戸 ●一般住宅、新幹線工事関係の仕事があり、売上は例年並を期待したい。(建設業)●減収減益。平成15年より酒類の規制緩和が行われるため、競争激化が予想される。(小売業)●ディナーショー、生ビール祭り等の企画で集客力を上げ、前年並の売上を目指す。(サービス業)



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