特集●平成10年求人実態調査結果
低下した企業求人比率 27.2%
来春の求人 さらに落ち込む見込み
表3は、来春の常用従業員の採用計画を示している。「採用せず」は全ての業種で前年調査を上回っており、「採用計画あり」は運輸業を除いて軒並み前年調査を下回った。全体では、「採用せず」の企業が48.5%と前年調査の31.9%を16.6ポイント大幅に上回り、逆に「採用計画あり」と回答した企業は24.8%と前年調査の39.3%を14.5ポイント大幅に下回った。 業種別にみると、鉱業・建設業は、「採用計画あり」が31.0%と前年調査を26.5ポイント下回り、「採用せず」が43.1%と前年調査を30.6ポイント上回った。他の業種でも程度の差はあるものの同様の傾向であるが、唯一運輸業では、「採用計画あり」が23.1%と前年調査を5.7ポイント上回っている。
ここでも、景気低迷による先行き不透明感を色濃く反映し、採用意欲の減退が顕著となっている。
また、「採用計画あり」の採用予定者数の内訳をみると、全業種では「高卒男子」が192人と最も多く、次いで、「高卒女子」127人、「大卒男子」82人、「中途採用者男子」74人の順となっている。業種別にみると、鉱業・建設業では、業種柄女子の採用予定者は全体でも1人と極端に少ない。また、「中途採用者男子」が多いのも特徴である。製造業では、「中途採用者」の積極的な採用計画が目立ち、女子が男子を上回っている点が特筆される。男女別にみると、サービス業の「高卒女子」、製造業の「中途採用者女子」を除いた全ての項目で女子の採用予定数が男子を下回っている。特に、大卒の格差は大きく、女子には一層厳しい就職環境が予想される。
また、「採用せず」の理由として、「現在の従業員で十分」と回答した企業が32.9%と前年調査を7.5ポイント上回った。
表3 来春の常用従業員採用計画 [( )内は前年調査 単位:人、%]
|
鉱
業・
建 設 |
製
造 |
卸
売 |
小
売 |
運
輸 |
サ−ビス |
全業種 |
採用計画あり |
採用予定数(人) |
高卒 |
男子 |
41 |
91 |
15 |
33 |
2 |
10 |
192 |
女子 |
0 |
75 |
7 |
32 |
1 |
12 |
127 |
大卒 |
男子 |
16 |
22 |
10 |
31 |
0 |
3 |
82 |
女子 |
0 |
4 |
0 |
6 |
0 |
1 |
11 |
その他 |
男子 |
8 |
6 |
4 |
29 |
5 |
5 |
57 |
女子 |
0 |
3 |
4 |
6 |
5 |
8 |
26 |
中途採用者 |
男子 |
25 |
17 |
5 |
13 |
9 |
5 |
74 |
女子 |
1 |
25 |
3 |
1 |
0 |
5 |
35 |
(A)「採用計画あり」の企業割合 |
31.0 |
25.9 |
14.6 |
20.1 |
23.1 |
13.3 |
24.8 |
(57.5) |
(39.0) |
(23.2) |
(38.7) |
(17.4) |
(45.5) |
(39.3) |
(B)「未定」の企業割合 |
25.9 |
28.6 |
34.4 |
18.8 |
30.7 |
31.7 |
26.7 |
(30.0) |
(30.2) |
(44.2) |
(17.0) |
(39.1) |
(21.2) |
(28.8) |
採用計画せず |
現在の従業員で十分(%) |
29.3 |
29.5 |
29.5 |
41.0 |
27.0 |
38.3 |
32.9 |
(10.0) |
(25.3) |
(20.9) |
(38.6) |
(34.9) |
(24.2) |
(25.7) |
採用したいが控えている(%) |
11.2 |
10.5 |
13.3 |
11.4 |
11.5 |
11.7 |
11.1 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
その他、理由なし |
2.6 |
5.5 |
8.2 |
8.7 |
7.7 |
5.0 |
4.5 |
(2.5) |
(3.3) |
(7.0) |
(3.4) |
(4.3) |
(6.1) |
(3.9) |
(C)「採用せず」の企業割合 |
43.1 |
45.5 |
51.0 |
61.1 |
46.2 |
55.0 |
48.5 |
(12.5) |
(30.8) |
(32.6) |
(44.3) |
(43.5) |
(33.3) |
(31.9) |
※(A)+(B)+(C)=100%
図2は、リストラの一環としての人員削減(臨時、パート社員を含む)の実施状況を表している。全体では、「している」9.7%、「今後する予定」16.9%、「していないし今後もしない」が73.4%となっている。「している」と「今後する予定」を合わせた実施割合は26.6%となり、全体の約3割の企業でそれに向けた何らかの対応を迫られている形となっている。また、「している」の割合が最も高いのは、製造業で11.4%、次いで、サービス業の10.0%、卸売業9.8%の順となっている。「する予定」では、運輸業が30.8%と最も高く、製造業の20.5%、鉱業・建設業の15.5%と続いている。また、実施割合(「している」と「今後する予定」の合計)が最も高いのは、運輸業の34.6%で、製造業の31.9%、小売業24.8%と続き、逆に最も低いのは、卸売業の18.0%となっている。
最後に今回当調査にご協力いただいた方々の求人、雇用情勢に関するご意見を紹介します。
- 現在の景気状況では、新規採用を考える余裕はありません。(設備工事業)
- 受注状況厳しく、来年度採用見合わせている。当面現状の体制で乗り切って行く、幸い従業員の平均年齢が若いので不安ない。(設備工事業)
- 採用出来る時に若手を採用しておかないと新卒者は特に地元に残らない。(精密機械器具製造業)
- 有資格者やUターン者、Iターン者を探していますが、なかなかいません。大卒もかねてより探していますがいません。地勢的不利を感じています。(金属製品製造業)
- 現在求人活動をしているが、女子営業マンがなかなか来ない。女子は事務希望者が多く、その他の職種にはなかなか応募して来ない。専門職を求人するに当たり、中途・新規にかかわらず、資格を持っているレベルの高い人材を求めている。(一般機械器具卸売業)
- 小売部門で営業マンが欲しいが、営業として募集すると応募なし。(家電卸売業)
- 苦しい状況でも、社員全員の力で乗り切るため、解雇は考えていない。(衣料品小売業)
- 求めている人材は零細企業では難しい。(靴・履物小売業)
- 募集をすると女性は沢山みえるが、若い(20代)男性の集まりが悪い。(ビジネスホテル)
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