
「学官」と共同で、地球環境にも配慮した
新製品開発に取り組む |
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福島 尚 様(ふくしま たかし)様
【葛巻林業株式会社 取締役事業部長】
昭和22年生 盛岡市出身 勤続 21年
葛巻林業(株) 会社概要 |
所在地 |
(本社)盛岡市菜園1-3-6 |
(工場)葛巻町江刈字岩脇6-18-29 |
( 〃 )玉山村寺林字平森35 |
社 長 |
遠藤 保仁 |
資本金 |
1,000万円 |
従業員 |
41名 |
売上高 |
6億5百万円 |
創 業 |
昭和41年5月 |
事業内容 |
木材の加工・製材・漆器木地の製造・
販売、木質燃料の製造・販売、その他 |
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「木」に関連したお仕事をなさって75年以上もたつんですね。
福島: はい、現社長の曾祖父が大正11年に山林経営、素材やマッチの軸木等の生産を始めました。その後、時代に合わせ、生産品目は変わってきましたが、一貫して木材に関連するものです。
工場は、玉山村と葛巻町ですが。
福島: 以前は葛巻工場だけでしたが、昭和53年、より付加価値の高い漆器木地を生産するため、玉山工場を建設、操業しました。ここの漆器生産ラインは、完全機械化生産が可能で、品質面で高い評価を受けていますし、木地は本場の輪島等のほか沖縄にも出荷しています。さらには、広葉樹の樹皮が原料の「緑化基盤材」なども生産しています。葛巻工場では本来の製紙用チップと製材、針葉樹の樹皮が原料の「粉砕バーク」のほか、昭和57年からは石油系エネルギーに代わる木質燃料「ペレット」の生産も行っています。
製品の部門別売上割合などは。
福島: チップが45%、木地が25%、緑化基盤材等樹皮を利用しての製品が20%、その他が10%というところでしょうか。今後は、樹皮関連商品が伸びていくと思います。これは、本来産業廃棄物として処理されるものを原材料とするものでリサイクルも可能な製品ですので、地球環境に配慮したことになるのかなと思っています。
新製品の開発にも熱心ですが。
福島:
先ほどの「基盤材」をはじめ、もっと古くは広葉樹の樹皮を原料とした粉砕バーク等があります。粉砕バークは酪農の際の敷き藁にし、その後畑作用堆肥になります。これも、結果的には環境への配慮になっています。
新製品開発部門の人的な体制は。
福島:
明確な体制をはありませんが、主に私と社長が担当し、「未利用資源」「リサイクル」等をキーワードにした二人の会話の中から新しいアイディアが生まれます。さらには、必要に応じ岩手大学の先生や国、県の試験機関からも指導を受けますし、実用化に際しては、国や県等の技術開発の支援制度を積極的に利用しています。
以前新聞でみた「WF(ワックス・フライド)・ウッド」の製品化は。
福島:
残念ながら、計画よりずれこんでいます。技術的には量産も可能ですが、販路の確保が今一つの状態にあります。この製品は無公害でリサイクルが可能なことが最大の特徴で、時代の要請にあった製品ですので、エクステリアには勿論、流行のガーデニング用品の材料としても有望です。実際、プランター様のもののほか何種類かを製造、販売しています。現在は、社長の陣頭指揮、販路の開拓に努めています。
誇るべき点、PRしたい点などは。
福島:
それを目的としたわけではありませんが、結果的に当社の製品は地球環境の保全に幾ばくかの貢献をしていること。また、社長が経営判断をする際には、産業構造の変化の中で「過疎の地域に人が戻ってくるような産業おこし」に視点と力点を置いていることでしょうか。
さらには、長くにわたり続くこの芳しくない景況を社長も私も「商機」ととらえ、前向きな経営に徹している点でしょうか。

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