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特集●四半期(1〜3月期)景況調査結果
 

後退続く県内景況

さらに厳しさ増す来期見通し


 この調査は、県商工会連合会、県中小企業団体中央会、県内商工会議所及び商工会の協力のもとに実施したもので、回収サンプル数は、847企業である。業種別内訳は、鉱業・建設業102、製造業278、卸売業45、小売業272、運輸・サービス業150となっている。
 1〜3月期の県内景況をみると、売上高(建設業では完工高)が前期よりマイナス幅を拡大し、昭和55年調査開始以来の最低の数値を更新した。また採算(経常利益)資金繰りもマイナス幅を拡大するなど、著しく後退した状況が続いている。
 また、来期(4〜6月期)の見通しについては、業種、地域により各指標にバラツキがみられるものの、全体では今期を下回る予想であり、景気の先行き不透明感を反映しさらに厳しさが増すものとなっている。

 

売上引き続き最低値更新

 売上高(建設業では完工高)についてみると、全業種のDI値(前年同期比で増加と答えた企業割合から減少と答えた企業割合を減じた数値)は、 △39.5(前期△38.9)と調査開始以来の最低数値を前期に引き続き更新した。
 業種別にみると鉱業・建設業△36.0(同△43.4)、卸売業△35.6(同△41.2)とマイナス幅を縮小したものの、小売業△51.8(同△50.2)、運輸・サービス業△36.7(同△32.3)、製造業△30.8(同△28.7)でマイナス幅を拡大した。
 来期の見通しについてみると、 全業種では△41.3と今期を1.8ポイント下回っている。業種別では卸売業  △32.5、運輸・サービス業△35.6、小売業△47.9と今期を上回ったのに対し、鉱業・建設業△46.4、製造業△37.3と今期を下回っている。特に鉱業・建設業で10ポイント以上の大幅な落ち込みを予測している点が目立っている。
 

図1

 

 

仕入れ単価、やや低下

 商品・原材料仕入単価についてみると、全業種のDI値(前年同期比で仕入単価が上昇と答えた企業割合から低下と答えた企業割合を減じた数値)は、0.2(前期1.8)となり前期よりやや低下した。
 業種別にみると、製造業△5.3(同3.2)、卸売業6.8(同12.0)、鉱業・建設業△4.0(同△2.5)とマイナス幅を拡大したが、運輸・サービス業△7.6(同△16.6)、小売業10.3(同9.5)と単価が上昇した。
 一方、来期の見通しについてみると、全業種では3.5と今期を3.3ポイント上回っている。
 業種別にみると、鉱業・建設業4.1と今期を8.1ポイント上回っているのをはじめ、小売業14.8、卸売業10.3、製造業△3.9、運輸・サービス業△6.4の順で軒並み今期を上回っている。
 

図2

 

採算、さらに悪化傾向

 採算(経常利益)についてみると、全業種のDI値(前年同期比で増加と答えた企業割合から減少と答えた企業割合を減じた数値)は、△38.4(前期△36.5)とマイナス幅をさらに拡大した。
業種別にみると、卸売業△33.3(同△37.3)、小売業△41.9(同△43.9)とマイナス幅を縮小したが、製造業 △33.8(同△27.9)、鉱業・建設業 △48.5(同△43.1)、運輸・サービス業△35.4(同△33.5)とマイナス幅を拡大した。
 来期の見通しについてみると、全業種では△38.5と今期を0.1ポイント下回っている。
 業種別にみると、卸売業△23.1、小売業△40.3、運輸・サービス業△34.0と今期を上回っているが、鉱業・建設業△52.5、製造業△36.1と今期を下回っている。

 

図3

 

資金繰り、一層窮屈感強まる

 資金繰りについてみると、全業種のDI値(前年同期比で好転と答えた企業割合から悪化と答えた企業割合を減じた数値)は、△28.0(前期△26.0)と、マイナス幅をさらに拡大した。
 業種別にみると、小売業△29.5(同△34.1)とマイナス幅を縮小したが、製造業△26.0(同△19.5)、運輸・サービス業△27.0(同△21.6)、鉱業・建設業△33.7(同△28.8)、卸売業 △22.2(同△22.0)と軒並みマイナス幅を拡大した。
 来期の見通しについてみると、全業種では△28.8と今期を0.8ポイント下回っている。
 業種別にみると、製造業△24.7と今期を上回ったが、鉱業・建設業△37.1、小売業△31.4、運輸・サービス業  △27.6、卸売業△22.5といずれも今期を下回っている。
 

図4

 

問題点の1位は「需要停滞」

 企業の直面する経営上の問題点を業種別にみると、鉱業・建設業では、「官公需要の停滞」が第1位となり、以下「民間需要の停滞」、「単価の低下」、「人件費増加」の順となっている。製造業では、「需要の停滞」が第1位となり、以下「製品単価の低下」、「製品ニーズの変化への対応」、「設備の不足」の順となっている。卸売業では、「需要の停滞」が第1位となり、以下「販売単価の低下」、「大型店の進出による競争の激化」、「小売業の進出」、「メーカーの進出」の順となっている。小売業では、「大型店の進出による競争の激化」が第1位となり、以下「購買力の他地域への流出」、「需要の停滞」、「ニーズへの対応」の順となっている。運輸・サービス業では、「需要の停滞」が第1位となり、以下「ニーズへの対応」、「参入業者の増加」、「料金の低下」の順となっている。
 小売業の「大型店の進出による競争の激化」以外はいずれも「需要の停滞」が問題点の1位にあげられており、前回までの調査と同様、「需要の停滞」が業況悪化の主因であることを窺わせる。

 

中部、胆江地域では改善

本調査を県内9広域生活圏別に概観すると次のとおりである。
 
 売上高については、中部、胆江、気仙、久慈地域で前期を上回った。採算(経常利益)については、中部、胆江地域が前期を上回ったほかはいずれも前期を下回った。資金繰りについては、中部、胆江、二戸地域以外は一段と窮屈感が強まった。
 また、来期の見通し(売上高)については、盛岡、宮古、二戸地域で今期並みもしくは上回っているほかはいずれも今期を下回ると予想しており厳しい状況が予測される。
 地域別にみると、盛岡地域では、売上高△45.3(前期△30.7)、採算△38.1(同△29.0)、資金繰り△28.2(同 △23.0)といずれもマイナス幅を拡大したが、来期の見通し(売上)については△40.6と今期を上回っている。
 岩手中部地域では、売上高△25.4(同△37.1)、採算△26.3(同△39.8)、資金繰り△13.6(同△29.4)といずれも10ポイント以上マイナス幅を縮小したが、来期の見通し(売上)については△26.5と今期を下回っている。
 胆江地域では、売上高△41.5(同
△42.7)、採算△37.4(同△40.8)、資金繰り△25.4(同△25.8)といずれもマイナス幅を縮小したが、来期の見通し(売上)については△50.4と今期を下回っている。
 両磐地域では、売上高△55.3(同 △54.3)、採算△52.7(同△46.3)、資金繰り△34.4(同△18.5)といずれもマイナス幅を拡大した。来期の見通し(売上)についても△59.3と今期を下回っている。
 気仙地域では、売上高△2.2(同 △10.3)とマイナス幅を縮小したが、採算△8.8(同△6.2)、資金繰り△12.1(同△10.4)とマイナス幅を拡大した。来期の見通し(売上)については  △11.1と今期を下回っている。
 釜石地域では、売上高△51.9(同 △50.0)、採算△50.0(同△45.5)、資金繰り△43.1(同△32.1)といずれもマイナス幅を拡大した。来期の見通し(売上)についても△54.0と今期を下回っている。
 宮古地域では、売上高△47.1(同 △46.1)、採算△47.1(同△41.2)、資金繰り△38.6(同△34.5)といずれもマイナス幅を拡大した。来期の見通し(売上)については△46.0と今期を上回っている。
 久慈地域では、売上高△40.0(同 △48.4)とマイナス幅を縮小したが、採算△52.0(同△47.6)、資金繰り△48.0(同△27.0)、とマイナス幅を拡大した。来期の見通し(売上)については△44.0と今期を下回っている。
 二戸地域では、資金繰り△35.8(同△37.3)とマイナス幅を縮小したが、売上高△52.2(同△45.3)、採算△55.2(同△47.3)、とマイナス幅を拡大した。来期の見通し(売上)については△51.5と今期を下回っている。

 
【広域生活圏別の景況】

広域生活圏別の景況

 なお、この四半期景況調査は、他の機関においても多数実施されていること等から、当センターとしては、今後実施しないことにいたしました。長くにわたりご協力をいただきました各関係機関及び回答企業の方々には心より感謝いたします。
 今後はこれに変えて、皆様により役に立つ独自の調査を実施する予定です。


 

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