特集●冬季賞与支給予定額調査結果 冬のボーナス支給予定額 ●支給月額 1.81ヵ月 ●支給額 344,335円 当産業情報センターが10月31日現在でまとめた県内各企業のこの冬のボーナス支給予定額調査によれば、加重平均で男子が393,028円(回答企業の対前年比1.5%増)、女子が240,754円(同1.6%増)、男女平均では344,335円(同1.7%増)となり、前年調査に引き続きプラスの伸び率となった。厳しい状況が叫ばれている県内景況の中にあって幾分明るさが感じられる調査結果となっている。
ただし、この中にはボーナスを支給しない企業が11社(2.9%)含まれているので、これを除いた支給予定企業だけの平均でみると男子が394,703円(同1.6%増)、女子が242,408円(同1.7%増)、男女平均では346,089円(同1.8%増)となっている。
この調査は、当産業情報センターが毎月実施している経営動向調査の対象企業62業種、1,650企業を対象に10月31日現在で実施したものである。調査票を回収したサンプル472企業のうち、従業員のいない企業、支給額が未定の企業、記載不備のものを除いた375企業分を集計したものである。
この冬のボーナス支給予定額の総平均については、表1のとおりであるが、この中にはボーナスを支給しない企業も11社(有効回答中2.9%)含まれている。そこでこの分を除いて有額支給企業だけの平均をみると、男子が394,703円(回答企業の対前年比1.6%増)、女子が242,408円(同1.7%増)、男女平均では346,089円(同1.8%増)、となり、支給額は総平均に比べてそれぞれ1,675円、1,654円、1,754円多くなっている。 平均基本給に対する支給月数についてみると、総平均で男子が平均基本給212,762円(平均年齢38.9才、平均勤続年数11.5年)の1.85ヵ月、女子が同 143,951円(同36.8才、同8.7年)の 1.67ヵ月、男女平均では同190,758円(同38.2才、同10.6年)の1.81ヵ月となっている。いずれも支給月数は、前年同期を上回っている。 これまでの冬のボーナス支給額の伸び率は、94年1.9%、95年△3.1%、96年0.3%、となっており厳しい状況が叫ばれてる県内景況の中にあって今回は幾分明るさが感じられる調査結果となっている。
業種別の支給予定額(男女平均)は、卸売業の408,442円をトップに、以下小売業404,596円、建設業383,822円、製造業328,075円、サービス業323,139円、非金属鉱業272,116円、運輸業224,985円の順となっている。また、男女別にみると、男子では小売業の469,667円をトップに、以下卸売業454,734円、製造業405,240円、建設業400,664円と続いている。女子では卸売業の304,621円をトップに、小売業286,602円、建設業
280,193円、サービス業235,010円と続いている。
次に、各業種の支給予定額を前年同期の実績と比べてみると、建設業で
2.7%とトップ、以下小売業が2.1%、製造業が1.9%、運輸業が0.9%、卸売業が0.4%で前年実績を上回った伸び率となっている。サービス業は0.0%で前年並みを維持している。逆に、非金属鉱業は△5.9%と前年実績を下回っている。
つづいて各業種の業種別内訳をみると、建設業では、設備5.3%、建設2.6%、土木0.9%と全ての業種で前年実績を上回った。製造業では、繊維13.2%、輸送機械11.4%、電気機械6.0%、一般機械5.8%、木材4.7%等がプラスの伸び率となっているが、反面、精密機械△11.9%、窯業△7.9%、食品△6.2%、建具△4.0%、印刷△0.1がそれぞれマイナスの伸び率となっている。卸売業では、建材が3.9%とプラスの伸び率を示したが、青果市場、家電、飲食料、衣料、鮮魚市場はマイナスの伸び率となっている。小売業では、鮮魚・乾物246.7%、スポーツ用品137.5%が特に高い伸び率を示したほか食料品、酒販店、家電、自動車、書籍・文房具等でプラスの伸び率を示した。反面、自転車△41.7%、食肉△12.4、衣料△3.7%等でマイナスの伸び率を示しているが総体では堅調な伸び率となっている。運輸業では、道路貨物0.9%がプラスの伸び率を示し、タクシー△6.3%がマイナスの伸び率を示している。サービス業では、食堂20.5%、ビジネスホテル2.1%、自動車整備業0.4%とプラスの伸び率を示し、美容△6.9%、観光旅館△4.9%、クリーニング△1.1%とマイナスの伸びを示している。
支給予定額、支給月数、伸び率について各業種を総合的にみると小売業、建設業が比較的好調で、他の業種については業種ごとにバラツキがみられる。
図1は、支給額の分布状況をみたものである。支給額を10万円単位でみてみると、10万円台と回答した企業が
28.3%でトップとなっており、次いで20万円台の20.5%、30万円台の16.5%の順になっている。このことから、県内の6割以上の企業が10万円以上30万円台の支給額となっていることがわかる。しかし、支給額が10万円未満の企業、あるいは50万円以上と回答した企業も約2割あり、支給額は例年に比べ更に各段階に広く分布しており、企業間における格差が広がっている。
表2は、支給時期をみたものである。全体では、12月16日〜20日、26日〜31日に支給する企業がそれぞれ22.4%で最も多く、次いで12月21〜25日の17.6%、12月6日〜10日の16.0%の順となっているが、例年同様に16日以降に支給する企業は全体の62.7%となっている。また、サービス業では1月以降に支給する企業も一部にあり、全体の0.3%を占めている。
また、業種別に支給時期をみると、建設業と非金属鉱業では12月16日以降支給と回答した企業が7割以上、ほかの業種では5割以上となっており例年通りの傾向を示している。
表3は、ボーナスの支給財源を業種別と従業員規模別にみたものである。
全体では内部積立58.4%、借入27.7%、本社調達6.1%、その他7.8%の構成割合で例年同様の傾向を示している。
業種別に支給財源をみると、財源を内部積立によるとする割合が高いのがサービス業、非金属鉱業で8割を超え、次いで小売業、卸売業の順となっている。一方、財源を借入によるとする割合が平均より高いのは運輸業、建設業、卸売業、製造業で、特に運輸業は6割を超えており、例年と同様の傾向である。また、財源をすべて内部積立とする企業の割合、反対にすべて借入とする企業の割合を業種別にみても、同様の傾向にあり、業種による調達財源が大きく異なっていることがわかる。
次に、従業員規模別の支給財源をみると、例年同様、内部積立とする企業の割合は従業員規模が大きくなるほど低くなり、逆に借入金は高くなるという相関関係がみられる。
表4は、広域生活圏別に支給予定額をみたものである。男女平均では盛岡地域416,469円、岩手中部地域411,351円の順で40万円台、気仙地域344,902円、宮古地域343,517円、胆江地域322,501円の順で30万円台となっており、その他の地域は20万円台となっている。これを男女別にみると、男子では盛岡地域の453,598円で最も高く、続いて岩手中部地域、気仙地域の順で40万円台となっており、宮古地域、胆江地域、両磐地域の順で30万円台となっている。女子では盛岡地域の325,292円が最も高く、以下岩手中部地域、胆江地域、気仙地域の順となっている。
また、これを製造業と非製造業の別でみると、製造業では岩手中部地域の454,738円が最高となっており、次いで盛岡地域の418,065円、以下気仙地域、宮古地域、胆江地域が30万円台で続き、二戸地域、釜石地域、両磐地域が20万円台、久慈地域が10万円台となっている。非製造業では盛岡地域の415,657円がトップで、以下久慈地域、岩手中部地域、気仙地域、両磐地域が30万円台で続き、宮古地域、胆江地域、二戸地域が20万円台、釜石地域が10万円台となっている。 男女別、製造業・非製造業別においては盛岡地域、岩手中部地域、気仙地域が上位を占め、反面、釜石地域、二戸地域が下位に位置している。
次に、各地域の支給予定額を回答企業の前年同期の実績と比べてみると、久慈地域の6.6%を最高に両磐地域3.5%、気仙地域3.4%、宮古地域1.9%、盛岡地域1.6%、岩手中部地域1.4%等ほとんどの地域で前年実績を上回った。唯一釜石地区で△1.4%と前年実績を下回ったが、県内全体としては堅調な伸びを示しており、特に製造業で伸びた地域が多い点が目立っている。
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