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特集●四半期(4〜6月期)景況調査結果
 

依然足踏み続く県内景況
地域・業種で差がある来期見通し


 
 この調査は、県商工会連合会、県中小企業団体中央会、県内商工会議所及び商工会の協力のもとに実施したもので、回収サンプル数は、957企業である。業種別内訳は、鉱業・建設業119、製造業312、卸売業57、小売業309、運輸・サービス業160件となっている。
 4〜6月期の県内景況をみると、売上高(建設業では完工高)、採算(経常利益)資金繰りともに僅かながらマイナス幅を拡大するなど、回復は足踏み状態が続いている。
 一方、来期(7〜9月期)の見通しについては、業種、地域により各指標の予測がバラつき、景況感に差があらわれているが、全体では依然慎重な見通しとなっている。

 

売上 減少傾向続く

 売上高(建設業では完工高)についてみると、全業種のDI値(前年同期比で増加と答えた企業割合から減少と答えた企業割合を減じた数値)は、△19.2(前期△17.6)と1.6ポイントマイナス幅を拡大した。
 業種別にみると、製造業△5.2(同△7.2)、卸売業△14.0(同△26.3)とマイナス幅を縮小した反面、鉱業・建設業△13.7(同△0.9)、小売業△ 36.2(同△33.2)、運輸・サービス業△19.4(同△17.6)とマイナス幅を拡大した。
 来期の見通しについてみると、全業種では△21.1と今期を1.9ポイント下回っている。業種別では、卸売業 ±0.0、小売業△31.5、運輸・サービス業△16.8と今期を上回ったのに対し、鉱業・建設業△35.3、製造業△11.3と今期を下回る予測をしており、特に鉱業・建設業の落ち込みが目立つ。

図1

 

仕入れ単価再び上昇の兆し

 商品・原材料仕入単価についてみると、についてみると、全業種のDI値(前年同期比で仕入単価が上昇と答えた企業割合から低下と答えた企業割合を減じた数値)は、△11.3(前期△8.8)と前期比マイナス幅を拡大した。
 業種別にみると、鉱業・建設業△15.1(同△28.7)を除き、卸売業1.8(同13.8)、製造業△12.4(同△ 11.2)、小売業△5.5(同0.3)、運輸・サービス業△22.2(同△16.0)と軒並みマイナス幅を拡大した。
 一方、来期の見通しについてみると、全業種では△6.9と今期を4.4ポイント上回っている。業種別にみても、卸売業△5.8と今期を下回っているほかは、鉱業・建設業△15.4と今期並みで、製造業△5.7、小売業0.3、運輸・サービス業△17.3と今期を上回っている。

図2

 

採算の回復も足踏み

 採算(経常利益)についてみると、全業種のDI値(前年同期比で増加と答えた企業割合から減少と答えた企業割合を減じた数値)は、△25.2(前期△21.9)とマイナス幅を拡大した。 業種別に見ると製造業△15.5(同△11.6)、小売業△34.9(同△30.0)、運輸・サービス業△30.4(同△23.5)がマイナス幅を拡大した反面、鉱業・建設業△17.9(同△20.0)、卸売業△26.8(同△31.0)とマイナス幅を縮小した。
来期の見通しについてみると、全業種では△25.1と今期を僅かに下回っている。業種別では、卸売業△7.8、小売業△31.2、運輸・サービス業△24.0といずれも今期を上回ったが、製造業△19.6、鉱業・建設業△32.7と今期を下回っておりバラツキが見られる。

図3

 

依然資金繰りに窮屈感

 資金繰りについてみると、全業種のDI値(前年同期比で好転と答えた企業割合から悪化と答えた企業割合を減じた数値)は、△17.7(前期△15.6)と、マイナス幅を拡大した。
業種別にみると、運輸・サービス業△17.2(同△19.1)、卸売業△15.8(同△17.5)とマイナス幅を縮小した反面、鉱業・建設業△10.9(同△6.1)、製造業△14.2(同△9.9)、小売業△24.5(同△22.8)とマイナス幅を拡大している。 来期の見通しについてみると、全業種では△16.6と今期を1.1ポイント上回っている。業種別では鉱業・建設業△20.9を除き、卸売業△13.5、製造業△9.6、小売業△24.3、運輸・サービス業△13.2と今期を上回った。

図4

 

問題は「需要停滞」と「大型店」

 企業の直面する経営上の問題点を業種別にみると、鉱業・建設業では、上位3項目は「官公需要の停滞」、「民間需要の停滞」、「人件費の増加」の順となっており、以下「熟練技術者の確保難」と続いている。また、製造業では上位3項目は「製品単価の低下」「需要の停滞」、「製品ニーズの変化への対応」の順であるが前期第1位だった「需要の停滞」に替わり「製品単価の低下」が再びトップとなった。卸売業では、「需要の停滞」、「販売単価の低下」、「小売業、メーカーの進出による競争激化」の順となっている。小売業では、「大型店の進出による競争の激化」が前期同様第1位となり、以下「購買力の他地域への流出」、「同業者の進出」、「需要の停滞」と続いている。運輸・サービス業では、「需要の停滞」、「利用者ニーズの変化への対応」、「人件費の増加」の順となっている。 前回に引き続き小売業を除く全業種で「需要の停滞」が問題点の上位にランクされている点が特徴的であり、小売業では「大型店の進出による競争激化」が圧倒的多数でトップにあげられている。

 

両磐、釜石、久慈地域に改善の兆し

 本調査を県内9広域生活圏別に概観すると次のとおりである。
売上高については、中部、両磐、気仙、釜石、久慈で前期を上回った。採算(経常利益)については、中部、両磐、釜石、久慈が前期並みもしくは前期を上回った。資金繰りについては、盛岡、気仙、宮古、二戸地域を除いて窮屈感が和らいだ。また、来期の見通し(売上高)については、中部、気仙、胆江を除いて前期並みもしくは上回ると予想している。
 地域別にみると、盛岡地域では、売上高△12.6(前期△6.4)、採算△27.6(同△14.3)、資金繰り△20.5(同△12.4)といずれもマイナス幅を拡大した。来期の見通しについは△12.4と今期を僅かに上回っている。
 岩手中部地域では、売上高△6.4(同△12.9)、採算△9.4(同△13.7)資金繰り△4.3(同△11.2)といずれもマイナス幅を縮小した。来期の見通しについては△9.0と今期を下回っている。
 胆江地域では、売上高△21.7(同△12.6)、採算△25.0(同△22.2)とマイナス幅を拡大した反面、資金繰り△14.8(同△15.7)と僅かにマイナス幅を縮小した。来期の見通しについては△32.0と今期を下回っている。
 両磐地域では、売上高△25.7(同△30.6)、資金繰り△15.5(同△22.9)採算△27.4(同△35.1)といずれもマイナス幅を縮小した。来期の見通しについても△25.0と今期を僅かに上回っている。
 気仙地域では、売上高△6.7(同△7.9)とマイナス幅を縮小したが、採算△18.0(同△13.2)、資金繰り△15.7(同±0)とマイナス幅を拡大した。来期の見通しについては△19.1と今期を下回っている。
 釜石地域では、売上高△40.3(同△51.3)、採算△50.0(同△55.1)、資金繰り△36.0(同△41.6)といずれも前期よりマイナス幅を縮小した。来期の見通しについては△34.7と今期を上回っている。
 宮古地域では、売上高△31.3(同△17.6)、採算△33.3(同△15.8)、資金繰り△26.5(同△17.8)といずれもマイナス幅を拡大した。来期の見通しについては△30.1と今期を上回っている。
 久慈地域では、売上高△13.7(同△21.0)、資金繰り△7.7(△8.1)、採算△11.5(同△21.0)といずれもマイナス幅を縮小した。来期の見通しについても△6.1と今期を上回っている。
 二戸地域では、売上高△28.9(同△24.7)、採算△27.6(同△25.0)、資金繰り△ 19.7(同△16.9)といずれもはマイナス幅を拡大した。来期の見通しについては△28.0と今期を僅かに上回っている。

【広域生活圏別の景況】
広域生活圏別の景況

 

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