0301 (1).gif (3025 バイト)

特集●四半期(1〜3月期)景況調査結果
 

回復の足取り鈍る県内景況

依然慎重な来期見通し


 この調査は、県商工会連合会、県中小企業団体中央会、県内商工会議所及び商工会の協力のもとに実施したもので、回収サンプル数は、928企業である。業種別内訳は、鉱業・建設業116、製造業296、卸売業58、小売業303、運輸・サービス業155件となっている。
 1〜3月期の県内景況をみると、売上高(建設業では完工高)、採算(経常利益)ともにほぼ前期並で推移するなど、回復の足取りが鈍っている。
 一方、来期(4〜6月期)の見通しについては、業種、地域により各指標の予測に多少のバラツキはあるものの、概ねマイナス幅が拡大しており、依然慎重な見通しとなっている。

 

売上再び減少傾向に

 売上高(建設業では完工高)についてみると、全業種のDI値(前年同期比で増加と答えた企業割合から減少と答えた企業割合を減じた数値)は、△17.6(前期△17.2)と0.4ポイント下回ったものの、前期とほぼ同様の数値となった。
 業種別にみると、鉱業・建設業0.9(同△3.8)とプラスに転じ、運輸・サービス業△17.6(同△18.1)とマイナス幅を縮小した反面、製造業△7.2(同△7.0)、卸売業△26.3(同△18.9)、小売業△33.2(同△31.2)とマイナス幅を拡大した。
 来期の見通しについてみると、全業種では△24.2と今期のDI値を6.6ポイント下回っている。業種別にみても、鉱業・建設業△26.1、製造業△13.1、卸売業△26.4、小売業△33.8、運輸・サービス業△24.2と軒並み今期DI値を下回る予測をしており、景気の先行きに対する不透明感を反映した結果となった。
 

図1

 

 

仕入れ単価、やや低下

 商品・原材料仕入単価についてみると、全業種のDI値(前年同期比で仕入単価が低下と答えた企業割合から上昇と答えた企業割合を減じた数値)は、△8.8(前期△9.7)と前期比マイナス幅を縮小した。
 業種別にみると、卸売業13.8(同△3.8)がプラスに転じ、製造業△11.2(同△17.7)がマイナス幅を縮小した反面、小売業0.3(同0.4)が微減、鉱業・建設業△28.7(同△18.7)、運輸・サービス業△16.0(同△11.1)がマイナス幅を拡大した。
 一方、来期の見通しについてみると、全業種では△14.1と今期のDI値を5.3ポイント下回っている。業種別にみても、鉱業・建設業△31.0、製造業△11.8、卸売業△7.4、小売業△8.9、運輸・サービス業△23.3と軒並み今期のDI値を下回っている。
 

図2

 

採算、僅かながら好転

 採算(経常利益)についてみると、全業種のDI値(前年同期比で増加と答えた企業割合から減少と答えた企業割合を減じた数値)は、△21.9(前期△22.6)とややマイナス幅を縮小した。 業種別に見ると小売業△30.0(同 △35.2)、運輸・サービス業△23.5(同△25.0)がマイナス幅を縮小した反面、鉱業・建設業△20.0(同△14.2)、製造業△11.6(同△10.4)、卸売業△31.0(同△28.3)とマイナス幅を拡大した。
来期の見通しについてみると、全業種では△26.7と今期のDI値を4.8ポイント下回っている。業種別では、卸売業△27.8が今期のDI値を上回ったほかは、鉱業・建設業△32.4、製造業△17.5、小売業△34.5、運輸・サービス業△24.3といずれも今期のDI値を下回っている。
 

図3

 

売上再び減少傾向に

 資金繰りについてみると、全業種のDI値(前年同期比で好転と答えた企業割合から悪化と答えた企業割合を減じた数値)は、△15.6(前期△15.3)と、僅かにマイナス幅を拡大した。
業種別にみると、鉱業・建設業△6.1(同△9.3)、製造業△9.9(同△12.6)がマイナス幅を縮小した反面、運輸・サービス業△19.1(同△16.9)、卸売業△17.5(同△5.7)、小売業△22.8(同△21.2)とマイナス幅を拡大している。 来期の見通しについてみると、全業種では△18.3と今期のDI値を2.7ポイント下回っている。業種別では卸売業△17.3が今期のDI値を僅かに上回ったほかは、鉱業・建設業△16.8、製造業△10.1、小売業△25.7、運輸・サービス業△20.4と今期のDI値を下回っている。
 

図4

 

大型店進出による競争激化

 企業の直面する経営上の問題点を業種別にみると、鉱業・建設業では、上位3項目は「官公需要の停滞」、「民間需要の停滞」、「人件費の増加」の順となっており、以下「熟練技術者の確保難」と続いている。また、製造業では上位3項目は「需要の停滞」、「製品単価の低下」、「製品ニーズの変化への対応」の順であるが前期第1位だった「製品単価の低下」に替わり「需要の停滞」がトップとなった。卸売業では、「需要の停滞」、「販売単価の低下」、「小売業、メーカーの進出による競争激化」の順となっている。小売業では、「大型店の進出による競争の激化」が前期同様第1位となり、以下「購買力の他地域への流出」、「同業者の進出」、「需要の停滞」と続いている。運輸・サービス業では、「需要の停滞」、「人件費の増加」、「利用者ニーズの変化への対応」の順となっており、前期第4位だった「人件費の増加」が第2位に順位を上げた。 小売業を除く全業種で「需要の停滞」が問題点のトップにランクされている点が特徴的であるが、前回に引き続き小売業で「大型店の進出による競争激化」がトップにあげられたことが特筆される。

 

宮古地域に回復の兆し

本調査を県内9広域生活圏別に概観すると次のとおりである。
売上高については、盛岡、中部、胆江、宮古で前期を上回った。採算(経常利益)については、気仙、釜石、久慈、二戸地域を除いて前期並もしくは前期を上回った。資金繰りについては、胆江、両磐、釜石地域を除いて軒並み窮屈感が和らいだ。また、来期の見通し(売上高)については、盛岡、中部、釜石、久慈を除いて今期のDIを下回ると予想している。
 地域別にみると、盛岡地域では、売上高△6.4(前期△9.5)とマイナス幅を縮小し、採算△14.3(同△14.7)資金繰り△12.4(同△12.2)はほぼ前期並のDI値となった。来期の見通しについは△15.5と今期のDI値を9.1ポイント下回っている。
 岩手中部地域では、売上高△12.9(同△14.0)、資金繰り△11.2(同△14.3)とマイナス幅を縮小し、採算△13.7(同△14.1)はほぼ前期並のDI値となった。来期の見通しについても△12.0と今期のDI値とほぼ同様となっている。
 胆江地域では、売上高△12.6(同△17.9)、採算△22.2(同△25.0)とマイナス幅を縮小した反面、資金繰り△15.7(同△13.6)とマイナス幅を拡大した。来期の見通しについては△33.1と今期のDI値を下回っている。
 両磐地域では、売上高△30.6(同△20.5)、資金繰り△22.9(同△15.5)とマイナス幅を拡大したが、採算△35.1(同△35.6)とほぼ前期並みであった。来期の見通しについては△32.4と今期のDI値をやや下回っている。
 気仙地域売上高△7.9(同△6.8)、採算△13.2(同△11.0)とマイナス幅を拡大したが、資金繰り±0(同△5.5)と前年並みのDI値となった。来期の見通しについては△12.0と今期のDI値を下回っている。
 釜石地域では、売上高△51.3(同△37.7)、採算△55.1(同△44.9)、資金繰り△41.6(同△33.3)といずれも前期よりマイナス幅を拡大し、特に売上高、採算はマイナス5割を越える結果となった。来期の見通しについては△41.1と今期のDI値を上回っている。
 宮古地域では、売上高△17.6(同△27.7)、採算△15.8(同△26.6)、資金繰り△17.8(同△19.1)といずれもマイナス幅を縮小した。来期の見通しについては△27.3と今期のDIを下回っている。
 久慈地域では、久慈地域では、資金繰り△8.1(△10.0)はマイナス幅を縮小したが、売上高△21.0(同△10.0)、採算△21.0(同△18.0)はマイナス幅を拡大した。来期の見通しについては△18.3と今期のDIを上回っている。
 二戸地域では、売上高△24.7(同△16.9)、採算△25.0(同△23.1)はマイナス幅を拡大したが、資金繰り△ 16.9(同△16.9)と前期と同様のDI値となった。来期の見通しについては△40.3と今期のDI値を下回っている。

 
【広域生活圏別の景況】

広域生活圏別の景況

 

戻る