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特集●四半期(10〜12月期)景況調査結果
 

一進一退の県内景況
依然慎重な来期見通し


 
 この調査は、県商工会連合会、県中小企業団体中央会、県内商工会議所及び商工会の協力のもとに実施したもので、回収サンプル数は、860企業である。業種別内訳は、鉱業・建設業107、製造業274、卸売業53、小売業282、運輸・サービス業144件となっている。
 10〜12月期の県内景況をみると、売上高(建設業では完工高)、採算(経常利益)ともに再びマイナス幅を拡大するなど、回復基調にあるものの一進一退を繰り返している。
 一方、来期(1〜3月期)の見通しについては、業種、地域により各指標の予測に多少のバラツキはあるものの、軒並みマイナス幅が拡大しており、依然慎重な予測となっている。

 

売上再び減少傾向に

 売上高(建設業では完工高)についてみると、全業種のDI値(前年同期比で増加と答えた企業割合から減少と答えた企業割合を減じた数値)は、△17.2(前期△14.7)と、前期比2.5ポイントマイナス幅を拡大した。
 業種別にみると、鉱業・建設業 △3.8(同△4.2)、製造業△7.0 (同△9.5)とマイナス幅を縮小した反面、卸売業△18.9(同△8.5)、小売業△31.2(同△28.3)、運輸・サービス業△18.1(同△7.9)とマイナス幅を拡大した。
 来期の見通しについてみると、全業種では△25.0と今期のDI値を7.8ポイント下回っている。業種別にみても、鉱業・建設業△6.8、製造業△14.1、卸売業△39.6、小売業△42.4、運輸・サービス業△19.7と軒並み今期DI値を下回る予測をしており、景気の先行きに対する不透明感を反映した結果となった。
 

図1

 

仕入れ単価やや上昇

 商品・原材料仕入単価についてみると、全業種のDI値(前年同期比で仕入単価が低下と答えた企業割合から上昇と答えた企業割合を減じた数値)は、△9.7(前期△6.4)と前期比マイナス幅を拡大した。
 業種別にみると、鉱業・建設業△ 18.7(同△22.7)、運輸・サービス業△11.1(同△14.4)がマイナス幅を縮小した反面、小売業0.4(同6.8)が微減、卸売業△3.8(同1.7)がマイナスに転じ、製造業△17.7(同△11.7)がマイナス幅を拡大した。
 来期の見通しについてみると、全業種では△6.6と今期のDI値を3.1ポイント上回っている。業種別にみても、運輸・サービス業△12.9が今期のDI値を下回ったほかは、鉱業・建設業△18.1、製造業△13.4、卸売業1.9、小売業5.4と軒並み今期のDI値を上回っている。
 

図2

 

採算再び悪化傾向に

 採算(経常利益)についてみると、全業種のDI値(前年同期比で増加と答えた企業割合から減少と答えた企業割合を減じた数値)は、△22.6(前期△21.4)とややマイナス幅を拡大した。業種別に見ると製造業△10.4(同△18.9)がマイナス幅を縮小したほかは、卸売業△28.3(同△23.7)、鉱業・建設業△14.2(同△8.3)、小売業△35.2(同△32.6)、運輸・サービス業△25.0(同△12.8)とマイナス幅を拡大した。
来期の見通しについてみると、全業種では△25.4と今期のDI値を2.8ポイント下回っている。業種別では、小売業△33.1が今期のDI値を上回ったほかは、鉱業・建設業△18.1、製造業△18.2、卸売業△34.0、運輸・サービス業△26.2といずれも今期のDI値を下回っている。
 

図3

 

資金繰り窮屈感ほぼ横這い

 資金繰りについてみると、全業種のDI値(前年同期比で好転と答えた企業割合から悪化と答えた企業割合を減じた数値)は、△15.3(前期△16.2)と、僅かにマイナス幅を縮小した。  業種別にみると、鉱業・建設業△9.3(同△5.0)、運輸・サービス業△16.9(同△10.4)、卸売業△5.7(同△5.4)とややマイナス幅を拡大したほかは、製造業△12.6(前期△14.2)、小売業△21.2(同△27.1)とマイナス幅を縮小している。
来期の見通しについてみると、全業種では△18.1と今期のDI値を2.3ポイント下回っている。業種別では、鉱業・建設業△8.5が今期のDI値を僅かに上回ったほかは、運輸・サービス業△18.7、製造業△13.8、卸売業△15.1、小売業△26.3と今期のDI値を下回っている。
 

図4

 

大型店進出による競争激化

 企業の直面する経営上の問題点を業種別にみると、鉱業・建設業では、上位3項目は「官公需要の停滞」、「請負単価の低下」、「人件費の増加」の順となっており、前期第2位だった「熟練技術者の確保難」は第4位に順位をさげた。また、製造業では前期同様、「製品単価の低下」、「需要の停滞」、「製品ニーズの変化への対応」の順である。卸売業では、「需要の停滞」、「大企業進出による競争激化」「小売業の進出による競争激化」の順となっており、前期第1位だった「販売単価の低下」は第4位に順位を下げた。小売業では、「大型店の進出による競争の激化」が前期2位から第1位へ順位を上げ、以下「購買力の他地域への流出」、「同業者の進出」、「需要の停滞」と続いている。運輸・サービス業では、前期同様「需要の停滞」、「利用者ニーズの変化への対応」、「利用料金の低下」の順となっている。 各業種とも依然「需要の停滞」が問題点の上位にランクされているが、今期、小売業において「大型店の進出による競争激化」が過半数に近い数値でトップにあげられたことが特筆される。

 

気仙地域に回復の兆し

 本調査を県内9広域生活圏別に概観すると次のとおりである。
売上高については、気仙、久慈地域を除く全ての地域で前期並もしくは前期を下回った。採算(経常利益)については、盛岡、気仙、二戸地域を除いて前期並もしくは前期を下回った。資金繰りについては、胆江、釜石地域を除いて軒並み窮屈感が和らいだ。また、来期の見通し(売上高)については、すべての地域において今期のDIを下回ると予想している。
 地域別にみると、盛岡地域では、売上高△6.9(前期△21.8)、採算△18.7(同△23.5)、資金繰り△13.5(同△17.4)といずれもマイナス幅を縮小した。一方、来期の見通しについては△8.5と今期のDI値をやや下回っている。
 岩手中部地域では、資金繰りは△14.3(同△16.8)とマイナス幅を縮小したものの、売上高△14.0(同△9.9)と採算△14.1(同△13.8)は前期よりマイナス幅を拡大した。来期の見通しについても△21.4と今期のDI値を下回っている。
 胆江地域では、売上高△17.9(同△8.7)、採算△25.0(同△15.9)、資金繰り△13.6(同△11.8)といずれもマイナス幅を拡大した。来期の見通しについても△27.7と今期のDI値を下回っている。
 両磐地域では、売上高△20.5(同△20.0)、採算△35.6(同△34.6)とほぼ前期並みであったが、資金繰り△ 15.5(同△17.3)はややマイナス幅を縮小した。来期の見通しについては△30.0と今期のDI値を下回っている。
 気仙地域では、売上高△6.8(同△17.2)、採算△11.0(同△18.3)、資金繰り△5.5(同△9.7)と軒並みマイナス幅を縮小したが、来期の見通しについては△9.7と今期のDI値を下回っている。
 釜石地域では、売上高△37.7(同△34.2)、採算△44.9(同△45.5)、資金繰り△33.3(同△28.8)といずれも前期並か前期よりマイナス幅を拡大した。来期の見通しについても△48.1と今期のDI値を下回っている。
 宮古地域では、売上高△27.7(同△21.5)、採算△26.6(同△15.1)とマイナス幅を拡大したが、資金繰り△19.1(同△20.7)はややマイナス幅を縮小した。来期の見通しについては△38.9と今期のDIを下回っている。
 久慈地域では、売上高△10.0(同△19.0)はマイナス幅を縮小したが、資金繰り△10.0(△10.3)はほぼ横這い、採算△18.0(同△13.8)はマイナス幅を拡大した。来期の見通しについては△14.0と今期のDIを下回っている。
 二戸地域では、売上高△16.9(同△14.1)はマイナス幅を拡大したが、採算△23.1(同△27.3)、資金繰り△16.9(同△23.4)がマイナス幅を縮小した。来期の見通しについては△24.6と今期のDI値を下回っている。
 

【広域生活圏別の景況】 広域生活圏別の景況

 


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