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特集●四半期(7〜9月期)景況調査結果
 

 回復感とり戻した県内景況 
先行き見通しには慎重


 
 この調査は、県商工会連合会、県中小企業団体中央会、県内商工会議所及び商工会の協力のもとに実施したもので、回収サンプル数は、987企業である。業種別内訳は、鉱業・建設業121、製造業316、卸売業59、小売業325、運輸・サービス業166件となっている。
 7〜9月期の県内景況をみると、売上高(建設業では完工高)、採算(経常利益)、資金繰りともにマイナス幅を縮小するなど再び回復の兆しをみせており、一進一退を繰り返しながらも穏やかな回復傾向にある。
 一方、来期(10〜12月期)の見通しについては、業種、地域により各指標の予測にバラツキがあり、景気への先行き不透明感も手伝って、全体では僅かではあるがマイナス幅が拡大した。

 

売上減少に歯止め

 売上高(建設業では完工高)についてみると、全業種のDI値(前年同期比で増加と答えた企業割合から減少と答えた企業割合を減じた数値)は、△14.7(前期△21.9)と、前期比7.2ポイントマイナス幅を縮小した。
 業種別にみても、鉱業・建設業 △4.2(同△9.8)、製造業△9.5 (同△14.7)、卸売業△8.5(同△16.1)、小売業△28.3(同△35.5)運輸・サービス業△7.9(同△19.1)と業種によりバラツキはあるものの、軒並みマイナス幅を縮小した。
 来期の見通しについてみると、全業種では△15.1と今期のDI値を僅かに下回っている。業種別では、製造業△3.3、卸売業△3.5が今期のDI値を上回ったのに対し、鉱業・建設業△5.0、小売業△30.1、運輸・サービス業△ 19.3は今期DI値を下回る予測をしており業種によりバラツキがある。

図1

 

仕入れ単価やや上昇

 商品・原材料仕入単価についてみると、全業種のDI値(前年同期比で仕入単価が低下と答えた企業割合から上昇と答えた企業割合を減じた数値)は、△6.4(前期△4.2)と前期比マイナス幅を拡大した。
 業種別にみると、卸売業1.7(同△ 1.8)がプラスに転じ、運輸・サービス業△14.4(同△15.0)がマイナス幅を縮小した。反面、小売業6.8(同7.7)が微減、鉱業・建設業△22.7(同△15.6)、製造業△11.7(同△7.2)がマイナス幅を拡大した。
 来期の見通しについてみると、全業種では△8.8と今期のDI値を2.4ポイント下回っている。業種別では、鉱業・建設業が△21.7と今期のDI値を上回ったほかは、製造業△15.7、卸売業△3.6、小売業△4.4、運輸・サービス業△14.9と軒並み今期のDI値を下回 っている。

図2

 

採算、回復傾向に

 採算(経常利益)についてみると、全業種のDI値(前年同期比で増加と答えた企業割合から減少と答えた企業割合を減じた数値)は、△21.4(前期△24.0)とマイナス幅を縮小した。業種別に見ると製造業△18.9(同△15.2)、卸売業△23.7(同△15.8)がマイナス幅を拡大したほかは、鉱業・建設業△8.3(同△16.8)、小売業△32.6(同△39.4)、運輸・サービス業△12.8(同△18.0)とマイナス幅を縮小した。
 来期の見通しについてみると、全業種では△19.7と今期のDI値を1.7ポイント上回っている。業種別では、製造業△12.8、卸売業△14.0、小売業△ 29.6が今期のDI値を上回り、鉱業・建設業△10.7、運輸・サービス業△ 22.0が今期のDI値を下回っている。

図3

 

資金繰り窮屈感やや弱まる

 資金繰りについてみると、全業種のDI値(前年同期比で好転と答えた企業割合から悪化と答えた企業割合を減じた数値)は、△16.2(前期△17.6)と、ややマイナス幅を縮小した。
 業種別にみると、製造業が△14.2(前期△13.7)とややマイナス幅を拡大したほかは、鉱業・建設業△5.0(同△8.1)、卸売業△5.4(同△8.8)、小売業△27.1(同△27.7)、運輸・サービス業△10.4(同△15.1)といづれもマイナス幅を縮小している。
 来期の見通しについてみると、全業種では△14.8と今期のDI値を1.4ポイント上回っている。業種別では、製造業△8.4、卸売業△1.8、小売業△25.2が今期のDI値を上回り、鉱業・建設業△12.0、運輸・サービス業△12.8が今期のDI値を下回っている。

図4

 

「需要の停滞」が依然上位に

 企業の直面する経営上の問題点を業種別にみると、鉱業・建設業では、上位3項目は「官公需要の停滞」、「熟練技術者の確保難」、「請負単価の低下」の順となっており、前期第2位だった「民間需要の停滞」は第4位に順位をさげた。また、製造業では前期同様、「製品単価の低下」、「需要の停滞」、「製品ニーズの変化への対応」の順である。卸売業では、「販売単価の低下」、「小売業の進出による競争激化」,「需要の停滞」の順となっている。小売業では、前期同様「購買力の他地域への流出」、「大型店の進出による競争の激化」、「消費者ニーズの変化への対応」の順となっており、以下「需要の停滞」と続いている。運輸・サービス業でも、前期同様「需要の停滞」、「利用者ニーズの変化への対応」、「利用料金の低下」の順となっている。

 

釜石地域を除き好転

 本調査を県内9広域生活圏別に概観すると次のとおりである。
 売上高については、釜石地域を除く全ての地域で前期並もしくは前期を上回った。採算(経常利益)については、両磐、釜石、二戸地域を除いて上回った。また、資金繰りについては、中部、両磐、釜石地域を除いて軒並み窮屈感が和らいだ。来期の見通し(売上高)については、両磐、気仙、二戸地域で今期のDI値を上回っており、久慈、宮古地域で前期並、その他の地域では下回って推移すると予想している。
 地域別にみると、盛岡地域では、売上高△6.9(前期△21.8)、採算△18.7(同△23.5)、資金繰り△13.5(同△17.4)といずれもマイナス幅を縮小した。一方、来期の見通しについては△8.5と今期のDI値をやや下回っている。
 岩手中部地域では、売上高△9.9(同△19.1)と採算△13.8(同△15.8)はマイナス幅を縮小したが、資金繰りは△16.8(同△15.7)とマイナス幅を拡大した。来期の見通しについては△12.1と今期のDI値を下回っている。
 胆江地域では、売上高△8.7(同△15.1)、採算△15.9(同△20.1)、資金繰り△11.8(同△13.7)は軒並みマイナス幅を縮小したが、来期の見通しについては△14.0と今期のDI値を下回っている。
 両磐地域では、売上高△20.0(同△25.3)はマイナス幅を縮小したが、採算△34.6(同△28.7)がマイナス幅を拡大し、資金繰り△17.3(同△17.2)はほぼ前期並に推移した。来期の見通しについては△17.8と今期のDI値を上回っている。
 気仙地域では、売上高△17.2(同△20.7)、採算△18.3(同△26.1)、資金繰り△9.7(同△11.0)と軒並みマイナス幅を縮小した。来期の見通しについても△6.7と今期のDI値を上回っている。
 釜石地域では、売上高△34.2(同△33.3)、採算△45.5(同△39.2)、資金繰り△28.8(同△27.8)といずれもマイナス幅を拡大した。来期の見通しについても△37.8と今期のDI値を下回っている。
 宮古地域では、売上高は△21.5(同△21.3)とほぼ前期並で推移し、採算△15.1(同△23.4)と資金繰り△20.7(同△23.7)もマイナス幅を縮小した。来期の見通しについては△21.7とほぼ横這いの予測となっている。
 久慈地域では、売上高△19.0(同△28.0)、採算△13.8(同△32.7)、資金繰り△10.3(△18.4)、採算△23.4(同△32.7)といずれもマイナス幅を縮小した。来期の見通しについては△19.6とほぼ横這いの予測となっている。
 二戸地域では、売上高△14.1(同△21.9)はマイナス幅を縮小したが、採算△27.3(同△17.2)、資金繰り△ 23.4(同△19.0)がマイナス幅を拡大した。来期の見通しについては△13.2と今期のDI値を若干上回っている。

 

【広域生活圏別の景況】 広域生活圏別の景況

 

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