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特集●四半期(4〜6月期)景況調査結果
 

回復の足どり鈍る県内景況


 
 この調査は、県商工会連合会、県中小企業団体中央会、県内商工会議所及び商工会の協力のもとに実施したもので、回収サンプル数は、946企業である。業種別内訳は、鉱業・建設業113、製造業300、卸売業57、小売業313、運輸・サービス業163件となっている。
 4〜6月期の県内景況をみると、売上高(建設業では完工高)、採算(経常利益)ともにわずかであるがマイナス幅を拡大するなど、景気回復の足取りが鈍っている。
 7〜9月期については、業種、地域により各指標の予測にバラツキが見られるものの、概ね回復が予想されている。

 

売上高・製造業に翳り

 売上高(建設業では完工高)についてみると、全業種のDI値(前年同期比で増加と答えた企業割合から減少と答えた企業割合を減じた数値)は、△21.9(前期△20.1)と、前期比わずかながらマイナス幅を拡大した。
 業種別にみると、製造業△14.7(同△7.4)がマイナス幅を拡大したものの、運輸・サービス業△19.1(同△19.0)がほぼ横道いのはか、鉱業・建設業△9.8(同△17.4)、卸売業△16.1(同△18.0)、小売業△35.5(同△39.2)は、マイナス幅を縮小した。
 来期の見通しについてみると、全業種では△18.9と今期のDI値を3ポイント上回っている。業種別でも、鉱業・建設業で△16.4と今期のDI値を下回ったほかは、製造業△12.7、卸売業1.9、小売業△29.3、運輸・サービス業△18.9と今期のDI値を上回り、特に卸売業ではプラスに転じている。

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仕入れ単価の変動小幅

 商品・原材料仕入単価についてみると、全業種のDI値(前年同期比で仕入単価が低下と答えた企業割合から上昇と答えた企業割合を減じた数値)は、△4.2(前期△4.1)と前期比ほぼ横這いとなった。
 業種別にみると、鉱業・建設業△15.6(同△17.4)、製造業△7.2(同△10.9)がマイナス幅を縮小し、卸売業△1.8(同3.3)、小売業7.7(同8.1)、運輸・サービス業△15.0(同△9.9)が前期比マイナスとなった。
 来期の見通しについてみると、全業種では△3.2と今期のDI値を1ポイント上回っている。業種別では、卸売業△10.9、運輸・サービス業△16.0が今期のDI値を下回り、鉱業・建設業△11.2、製造業△5.1、小売業9.0が今期のDI値を上回っている。

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採算の回復も足踏み

 採算(経常利益)についてみると、全業種のDI値(前年同期比で増加と答えた企業割合から減少と答えた企業割合を減じた数値)は、△24.0(前期△23.3)とわずかながらマイナス幅を拡大した。業種別にみると、鉱業・建設業△16.8(同△11.2)、小売業△39.4(同△31.2)がマイナス幅を拡大し、製造業△15.2(同△19.9)、卸売業△15.8(同△30.0)、運輸・サービス業△18.0(同△20.1)がマイナス幅を縮小した。
 来期の見通しについてみると、全業種では△22.3と今期のDI値を1.7ポイント上回っている。業種別では、製造業△14.3、卸売業△9.1、小売業△32.6が今期のDI値を上回り、鉱業・建設業△17.4、運輸・サービス業△25.3が今期のDI値を下回っている。

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依然資金繰りに窮屈感

 資金繰りについてみると、全業種のDI値(前年同期比で好転と答えた企業割合から悪化と答えた企業割合を減じた数値)は、△17.6(前期△17.7)と、前期比ほぼ横這いとなった。
 業種別にみると、鉱業・建設業△8.1(同△11.9)、卸売業△8.8(同△20.0)、運輸・サービス業△15.1(同△15.3)がマイナス幅を縮小し、製造業△13.7(同△11.1)、小売業△27.7(同△26.6)がマイナス幅を拡大した。
 来期の見通しについてみると、全業種では△16.2と今期のDI値を1.4ポイント上回っている。業種別では、製造業△8.6、卸売業△5.5、小売業△25.1が今期のDI値を上回り、鉱業・建設業△16.4、運輸・サービス業△16.8が今期のDI値を下回っている。

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問題は「需要停滞」・「ニーズの変化」

 企業の直面する経営上の問題点を業種別にみると、鉱業・建設業では、前期と同様、上位3項目は「官公需要の停滞」、「民間需要の停滞」、「熟練技術者の確保難」となっている。同様に、製造業では「製品単価の低下」、「需要の停滞」、「製品ニーズの変化への対応」の順である。卸売業では、「商品単価の低下」、「需要の停帯」、「メーカーの進出」の順となっているが、「代金回収の悪化」をあげる企業の増加が注目される。小売業では、「購買力の他地域への流出」、「大型店の進出による競争の激化」、「消費者ニーズの変化への対応」となり、これまで上位にあった「需要の停滞」が順位を下げた。運輸・サービス業では、「需要の停滞」、「利用者ニーズの変化への対応」、「料金の低下」の順となっている。

 

二戸地域に明るさ

 本調査を県内9広域生活圏別に槻観すると次のとおりである。
 売上高については、岩手中部、宮古、二戸地域で上向いた。採算(経常利益)については、岩手中部、胆江、久慈、二戸地域で上向いた。資金繰りについては、胆江、両磐、気仙、二戸地域で窮屈感が和らいだ。来期の見通し(売上高)については、盛岡、岩手中部、胆江、二戸地域で今期のDI値を上回っている。特に、二戸地域は水面下ながら今期の指標が好転し、来期の見通しも今期のDI値を上回っている。
 地域別にみると、盛岡地域では、売上高△21.8(前期△17.9)、採算△23.5(同△21.0)、資金繰り△17.4(同△15.2)といずれも前期よりマイナス幅を拡大した。来期の見通しについては△12.4と今期のDI値を上回っている。
 岩手中部地域では、売上高△19.1(同△21.0)と採算△15.8(同△16.7)は前期よりマイナス幅を縮小したが、資金繰りは△15.7(同△12.6)とマイナス幅を拡大した。来期の見通しについては△11.4と今期のDI値を上向っている。
 胆江地域では、売上高は△15.1(同△14.7)とマイナス幅を拡大したが、採算△20.1(同△21.9)と資金繰り△13.7(同△23.6)はマイナス幅を縮小した。来期の見通しについても△13.8と今期のDI値を上回っている。
 両磐地域では、売上高△25.3(同△22.8)と採算△28.7(同△26.3)は前期よりマイナス幅を拡大したが、資金繰りは△17.2(同△23.7)とマイナス幅を縮小した。来期の見通しについては△29.5と今期のDI値を下回っている。
 気仙地域では、売上高△20.7(同△6.3)と採算△26.1(同△21.1)は前期よりマイナス幅を拡大したが、資金繰りは△11.0(同△13.0)とマイナス幅を縮小した。来期の見通しについては△21.7と今期のDI値を下回っている。
 釜石地域では、売上高△33.3(同△20.3)、採算△39.2(同△33.3)、資金繰り△27.8(同△22.1)といずれも前期よりマイナス幅を拡大した。来期の見通しについても△38.2と今期のDI値を下回っている。
 宮古地域では、売上高は△21.3(同△32.3)と前期よりマイナス幅を縮小
したが、採算△23.4(同△20.7)と資金繰り△23.7(同△17.2)はマイナス幅を拡大した。来期の見通しについても△24.2と今期のDI値を下回っている。
 久慈地域では、売上高△28.0(同△22.6)と資金繰り△18.4(△11.5)は前期よりマイナス幅を拡大したが、採算は△32.7(同△38.5)とマイナス幅を縮小した。来期の見通しについては△30.0と今期のDI値を下回っている。
 二戸地域では、売上高△21.9(同△31.2)、採算△17.2(同△25.0)、資金繰り△19.0(同△22.1)といずれも前期よりマイナス幅を縮小した。来期の見通しについても△7.8と今期のDI
値を上回っている。

【広域生活圏別の景況】
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主な経済動態指標 

  岩手県景気動向指数(D. I.)

大型小売店売上高(注1)

消費者物価指数

卸物価指数

操短状況

岩手

東北

全国

盛岡

全国

全国

操短企業比率

先行指数 一致指数 遅行指数 百万円 前年同月比(%) 前年同月比 前年同月比 2年=100

前年同月比

2年=100

前年同月比

2年=100

前年同月比

6年 177,819 -0.1 -0.6 -2.7 106.6 0.7 107.1 0.4 93.1 -2.0 10.5
7年 180,819 -2.2 3.0 -2.2 106.3 -0.3 107.0 -0.1 92.2 -0.9 8.6
8年2月 66.7 88.9 50.0 13,216 4.1 3.1 5.1 106.0 0.2 106.6 -0.2 92.8 -0.1 5.3
3月 77.8 66.7 39.5 16,537 3.5 9.6 6.0 106.0 0.3 106.8 0.1 92.7 0.4 7.5
4月 66.7 66.7 75.0 14,282 -1.2 5.8 -1.2 106.8 0.3 107.5 0.4 92.8 1.3 9.3
5月       14,181 -0.5 2.8 1.7 107.1 0.0 107.7 0.3 92.6 1.3 13.7
6月       14,555 4.2 4.2 2.5 106.5 -0.2 107.3 0.0 92.6 1.4 7.2

資料出所

岩手県統計調査課 財務事務所 東北百貨店協会 日本百貨店協会 県統計調査課 総務庁 日本銀行 産業情報センター

注1.東北、全国は百貨店の売上高

 

  鉱工業生産指数(注2) (季節調整済)

前払保証対象公共工事請負額(岩手)

新設住宅着工戸数

有効求人倍率

岩手 東北 全国

件数

金額

岩手

全国

岩手

全国

2年=100 前年同月比 百万円 前年同月比

前年同月比

前年同月比

季節調整済
6年 98.0 96.1 92.0 6,737 -5.2 364,842 3.8 14,073 5.1 1,570,252 5.7 0.92 0.64
7年 99.4 98.8 95.1 6,681 -0.8 388,069 6.4 14,028 -0.3 1,470,330 -6.4 0.95 0.63
8年2月 106.7 99.6 98.8 279 -5.7 9,064 -5.1 753 -27.9 112,216 -1.9 0.81 0.67
3月 r98.0 95.9 92.9 145 -9.9 13,629 19.1 1,323 65.8 122,394 8.2 0.83 0.67
4月 p101.1 r98.0 r96.5 682 9.6 93,472 42.5 1,813 53.4 139,312 12.3 0.82 0.67
5月   p97.8 p97.8 525 59.1 37,640 -18.9 1,001 -2.0 136,571 18.1 0.89 0.69
6月       639 37.1 22,730 11.6            

資料出所

岩手県統計調査課 東北通産局 通産省 東日本建設業保証(株)盛岡支店 岩手県住宅建設課 建設省 岩手県職業安定課

注2.鉱工業生産指数の年比率は原指数

 

 

信用保証承諾(岩手)

企業倒産(岩手)

新車登録台数

岩手

全国

件数 金額 件数 負債金額 貨物 乗用車(除軽四) 合計(台) 前年同月比 乗用車(除軽四) 前年同月比
前年同月比 百万円 前年同月比 前年同月比 百万円 前年同月比 普通 小型
6年 9,589 -11.5 88,787 -5.4 63 -30.7 8,398 -36.2 2,164 8,073 41,384 51,621 53. 3,400 -0.8
7年 10,349 7.9 97,448 9.8 112 77.8 22,319 165.8 2,537 7,668 42,527 52,732 2.2 3,994 17.5
8年2月 700 4.0 6,960 4.6 12 33.3 718 -19.5 158 614 3,630 4,402 7.7 318 3.1
3月 1,104 18.2 11,637 23.8 7 -36.4 474 -92.0 444 1,174 7,418 9,036 -5.0 507 -5.1
4月 647 16.4 6,640 47.6 8 33.3 3,600 539.4 108 582 3,182 3,872 0.1 255 1.2
5月 796 24.6 8,887 62.0 8 0.0 2,260 -56.4 133 573 2,908 3,614 7.0 236 3.8
6月 897 -13.1 10,363 16.2 7 133.3 1,960 880.0 167 640 3,644 4,451 -4.6 304 -4.6

資料出所

岩手県信用保証協会 東京商工リサーチ 岩手県自動車販売店協会 日本自販協連合会

 

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