
新里 進(にいさとすすむ)様
[株式会社釜石酒造商会 常務取締役]
昭和33年生 釜石市出身 勤続14年
(株)釜石酒造商会 会社概要 |
所在地 |
釜石市小川町3丁目8番7号 |
TEL 0193(23)5613 |
社 長 |
新里 幸三 |
資本金 |
3,600万円 |
従業員 |
21名 |
売上高 |
2億9,000円 (平成7年9月期) |
創 業 |
大正12年 |
事業内容 |
「浜千鳥」「仙人郷」醸造元 |
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工場、事務所の佇(たたず)まいは風情がありますね。
新里: そうですか、ありがとうございます。創業以来市内の中心部で造っていましたが、良質の水の出が思わしくなくなったことなどもあり、昭和43年にここに移転しました。その時既にあった桜の木などはそのままにして建物を建てました。酒はいつでもありますから、季節には毎日花見がでさますよ。
創業は大正12年ですが、造り酒屋としては珍しい成り立ちですね。
新里: はい、遠野で酒を造っていた創業者が、当時隆盛が見込まれた釜石に造り酒屋がないということで始まったようです。その時、地元釜石の有力者にも声をかけ、その方々の子孫が現在も当社の役員、株主になっています。
その後70年間にはいろいろあったんでしょうね。例えば生産量などは。
新里: 創業当初から地元のお客さま中心の商売のようでした。釜石の人口増加に比例し、生産石数も増え昭和38年頃には約2千石造っていました。その後、新日鉄の規模縮小等もあり生産量も徐々に減ってきましたが、現在は1千5百石まで回復しています。しかし、生産量は減少した形ですが、当社が高級品志向していることもあり売上高、収益はそれなりに増加しています。販売先も市内、近隣町村はもとより、県内、県外に拡大し、そして現在はごく少量ですが海外へも輸出しています。また、東京の大手百貨店のPB商品としての生産もしています。
製品は各種の鑑評会などで好評を得ているようですね。
新里: はい、戦前から出品していまして、本年は南部杜氏自醸清酒鑑評会と東北新酒鑑評会(春)で優等賞をいただきました。全部ではないですが、手づくりの趣を第一と考え、今では全国的にも珍しい和釜で蒸し、木製の槽(ふね)で圧搾しています。
特に釜石市は経営環境が厳しい中、各企業とも頑張っておられますね。
新里: そうです、ご承知のとおり人口は最多時の半分近くまで減少していますし、内陸部とのインフラの格差は縮まっているとはいえ相変わらずあります。それでも、自然に恵まれていることなど、都市部にはない釜石の有利性を活かした経営をしていくことで自ずと活路が見いだせるのではないかと思っています。当社も、釜石ならではというものを「酒」を通して実現していきたいと思います。仕込水に「仙人秘水」を使った酒もそのひとつです。
ミニコミ紙「かわら版」はユニークな話題で楽しそうですね。
新里: 主に県外の得意先を対象に発行し10年目に入りました。お得意先との接点を持つことと、釜石のユニークな話題から「釜石の地酒」をイメージしていただくため年4回の発行です。ご覧のとおり1枚ものですが、出来上がるまでは本当に大変です。「継続は力なり」の精神で、この商売と同様コツコツと続けていきたいと思っています。

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