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特集●四半期(1〜3月期)景況調査結果
 

回復の足取り鈍る県内景況
依然慎重な来期見通し


 この調査は、県商工会連合会、県中小企業団体中央会、県内商工会議所汲び商工会の協力のもとに実施したもので、回収サンプル数は、938企業である。業種別内訳は、鉱業・建設業110、製造業299、卸売業61、小売業309、運輸・サービス業159件となっている。1〜3月期の県内景況は、売上高(建設業では完工高)が5期ぶり、採算(経常利益)も4期ぶりにマイナス幅を縮小するなど、景気回復の兆しが見え始めた。
 4〜6月期についても、業種、地域により各指標の予測にバラツキが見られるものの、回復の兆しが鮮明になると予想される。

 

売上げ減少に歯止め

 売上高(建設業では完工高)についてみると、全業種のDI値は、△20.1(前期△26.5)と、平成6年7月〜9月期以来5期ぶりにマイナス幅が縮小した。
 業種別にみても、鉱業・建設業が△3,6(同△14.5)、製造業△7.4(同△14.8)、卸売業△18.0(同△21.4)、小売業△39.2(同△41.1)、運輪・サービス業△19.0(同△32.3)とバラツキがあるものの、いずれの業種もマイナス幅を縮小した。
 来期の見通しについてみると、全業種では△19.8と今期のDI値を0.3ポイント上回る予測となっている。業種別でも、鉱業・建設業で△14.8とマイナス幅を拡大したが、それ以外は、製造業△6.2、卸売業△10.0、小売業△38.5、運輸・サービス業△16.5とマイナス幅を縮小している。
 
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仕入れ単価、再び上昇

 商品・原材料仕入単価についてみると、全業種のDI値は、△4.1(前期0.9)と再びマイナスに転じた。
 業種別にみても、鉱業・建設業△17.4(向△11.8)、製造業△10.9(同△3.8)、卸売業3.3(同10.9)、小売業8.1(同15.5)、運輸・サービス業△9.9(同△12.7)とすべての業種で仕入単価上昇と答えた企業の割合が増加した。
 来期の見通しについてみると、全業種では△2.1と今期のDI値を2ポイント上向る予測となっている。業種別でも、運輸・サービス業の△15.2を除いて、鉱業・建設業△8.3、製造業△7.1、卸売業5.0、小売業9.7と仕入単価低下を予測する企業の割合が増加している。
 
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採算の悪化にも歯止め

 採算(経常利益)についてみると、全業種のDI値は、△23.3(前期△29.3)と上昇し、平成6年10〜12月期以来4期ぶりに、マイナス幅が縮小した。業種別にみても、鉱業・建設業△11.2(同△13.7)、製造業△19.9(同△24.3)、卸売業△30.0(同△33.9)、小売業△31.2(同△36.1)、運輸・サービス業△20.1(同△36.1)とすべての業種でマイナス幅を縮小した。
 来期の見通しについてみると、全集種では△22.3と今期のDI値を1ポイン
ト上回る予測となっている。業種別では、製造業△16.7、卸売業△20.0、運輸・サービス業△19.5がマイナス幅を縮小し、鉱業・建設業△15.0、小売業 △32.3がマイナス幅を拡大している。

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依然資金繰りに窮屈感

 資金繰りについてみると、全業種のDI値は、△17.7(前期△17.6)と、ほぼ横這いとなった。
 業種別にみると、製造業△11.1(同△16.2)、卸売業△20.0(同21.4)、運輸・サービス業△15.3(同△19.6)がマイナス幅を縮小し、鉱業・建設業△11.9(同△7.6)、小売業△26.6(同△21.4)がマイナス幅を拡大した。
 来期の見通しについてみると、全業種では△17.2と今期のDI値を0.5ポイント上回る予測となっている。業種別では、製造業△9.6、卸売業△16.9、運輸・サービス業△12.2がマイナス幅を縮小し、鉱業・建設業△15.9、小売業△27.6がマイナス幅を拡大している。

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問題は「需要停滞」と大型店

 企業の直面する経営上の間題点を業種別にみると、鉱業・建設業では、前期と同様、上位3項目は「官公需要の停滞」、「民間需要の停滞」、「熟練技術者の確保難」となっている。同様に、製造業では「製品単価の低下」、「需要の停滞」、「製品ニーズの変化への対応」の順である。卸売業では、「商品単価の低下」、「需要の停滞」、「大企業の進出」の順となっているが、前期に引き続き「小売業の進出」をあげる企業が増加しているのが注目される。小売業では、「購買力の他地域への流出」、「大型店の進出による競争の激化」、「需要の停滞」、運輸・サービス業では、「需要の停滞」、「利用者ニーズの変化への対応」、「料金の低下」の順となっている。

 

岩手中部、胆江に改善のきざし

 本調査を県内9広域生活圏別に概観すると次のとおりである。
 売上高については、盛岡、二戸を除く地域で上向いた。採算(経常利益)については、岩手中部、胆江、気仙、釜石、宮古地域が上向いた。資金繰りについては、岩手中部、胆江、気仙、釜石、久慈地域で窮屈感が和らいだ。来期の見通し(売上高)については、盛岡、岩手中部、胆江、宮古、久慈、二戸地域で売上増加を予測する企業の割合が増えている。特に、岩手中部、胆江地域は水面下ながら今期の指標が好転し、来期の見通しもマイナス幅が縮小している。
 地域別にみると、盛岡地域では、売上高△17.9(前期△17.3)と資金繰り△15.2(同△15.0)が横這い、採算は△21.0(同△19.0)とマイナス幅を拡大した。来期の見通しについては△14.7とマイナス幅が縮小している。
 岩手中部地域では、売上高△21.0(同△29.5)、採算△16.7(同△24.1)、資金繰り△12.6(同△12.8)といずれも前期よりマイナス幅が縮小した。来期の見通しについても△16.0とマイナス幅が縮小している。
 胆江地域でも、売上高△14.7(同△27.3)、採算△21.9(同△38.5)、資金繰り△23.6(同△26.2)といずれも前期よりマイナス幅が縮小した。来期の見通しについても△11.4とマイナス幅が縮小している。
 両磐地域では、売上高△22.8(同△24.2)と採算△26.3(同△34.4)は前期よりマイナス幅が縮小したが、資金繰りは、△23.7(同△16.8)とマイナス幅が拡大した。来期の見通しについては△22.8とマイナス幅が拡大している。
 気仙地域では、売上高△6.3(同△29.7)、採算△21,1(同△30.7)、資金繰り△13.0(同△22.2)といずれも前期よりマイナス幅が縮小した。来期の見通しについては△18.0とマイナス幅が拡大している。
 釜石地域では、売上高△20.3(同△38.4)、採算△33.3(同△45.9)、資金繰り△22.1(同△26.7)といずれも前期よりマイナス幅が縮小した。来期の見通しについては△30.7とマイナス幅が拡大している。
 宮古地域では、売上高△32.3(同△32.6)と採算△20.7(同△23.9)は前期よりマイナス幅が縮小したが、資金繰りは△17.2(同△11.0)とマイナス幅が拡大した。来期の見通しについては△29.0とマイナス幅が縮小している。 久慈地域では、売上高△22.6(同△37.5)と資金繰り△11.5(△19.6)は前期よりマイナス幅が縮小したが、採算は△38,5(同△37.0)とマイナス幅が拡大した。来期の見通しについては△20.8とマイナス幅が縮小している。
 二戸地域では、売上高△31.2(同△18.2)と資金繰り△22.1(同△10.4)は前期よりマイナス幅が拡大したが、採算は△25、0(同△26.0)とマイナス幅が縮小した。来期の見通しについては△28.9とマイナス幅が縮小している。


【広域生活圏別の景況】

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