初任給・新卒者採用調査

特集●平成12年度新卒者の採用予定および初任給調査結果

採用予定なし 48.4% 依然増加傾向が続く
初任給 全学歴で減少 特に大卒は2.0%の減少


 県内景況は製造業の電気機械を中心に一部改善が見込まれるが、依然全業種的な広がりには至っておらず、厳しい経営を余儀なくされている。
 このような景況のなか、岩手県情報研修センターでは、今春の採用状況および新卒者の初任給について調査を行った。その結果、「採用予定なし」とした企業割合は48.4%と前年調査46.5%を上回り、依然厳しい雇用情勢が続いている。また新卒者の初任給見込額は全学歴で減少となり、特に大卒では2.0%の減少となった。

 この調査は県内各地の職業安定所発行の新卒者求人一覧表を基に当センターが選定した企業1,311社を対象として平成11年12月1日現在で実施したものである。有効回収サンプル数は539企業(回収率41.1%)で、業種別の内訳は、鉱業・建設業144社、製造業199社、卸売業34社、小売業65社、運輸・サービス業97社である。
 なお、本調査の初任給部分はこれまで男女別に行っていたが、平成11年4月施行の改正男女雇用機会均等法の趣旨に鑑み男女別に分けずに調査を行った。 

採用予定なし48.4% 

 図1は企業における新卒者の採用予定状況についてみたものである。「採用予定なし」の企業が48.4%と前年調査の46.5%を上回り依然厳しい雇用情勢が続いている。

図1 新卒者の採用状況
 表1は業種別にみた新卒者の採用予定状況である。「採用予定あり」が小売業67.7%、鉱業・建設業56.3%と全業種平均51.6%を上回り、採用活動の積極的な姿勢が目につく。一方、卸売業は35.3%と全業種平均を大きく下回り、この業界の厳しさが窺える。「採用予定あり」の企業のうち「概ね計画通り採用できる」と回答した企業は小売業61.5%、鉱業・建設業50.7%と全業種平均46.0%を上回り、採用予定状況に連動する結果となった。
表1 新卒者の業種別採用状況
 図2は「採用予定なし」の企業における採用しない理由についてみたものであるが、「人員・人材が足りている」が49.4%と最も多い。一方、「採用したいが控えている」が25.7%、「経営環境の悪化のため」が20.3%と現今の景況を窺わせる結果となった。
図2 採用しない理由
 図3は新卒者の広域生活圏別にみた採用状況である。「採用予定あり」が工業集積度の高い岩手中部60.0%、胆江57.8%と全地域平均を上回った。一方、「採用予定なし」が久慈地域で64.0%、釜石地域59.5%、宮古地域57.7%と全地域平均を大幅に上回り、沿岸部に特に厳しい状況が見受けられる。このように採用状況には地域間において違いが見受けられる。
図3 新卒者の広域生活圏別採用状況
 図4は新卒者の採用方法についてみたものである。「学校からの紹介」が84.5%で最も多く、以下「就職ガイダンス」21.9%、「職安からの斡旋」21.6%と続いている。昨年に比べ、「就職ガイダンス」の割合が高まったのが特徴的である。
図4 新卒者の採用方法
(注)複数回答


初任給 全学歴で減少

 表2は初任給見込額(平成12年4月)について学歴別にみたものである。大卒は178,007円、短大・高専・専門学校卒155,011円、高卒141,009円となった。これを前年比でみると、大卒△3,571円(前年比△2.0%)、短大・高専・専門学校卒△116円(同△0.1%)、高卒△1,083(同△0.8%)と全ての学歴で減少となった。特に、大卒の減少幅が著しい。
 また、労働省の平成11年賃金構造基本統計調査結果速報(平成11年6月末現在、平成11年11月25日発表)によると、全国の平均初任給は大卒194,200円、短大・高専卒164,900円、高卒153,500円となっている。いずれも県内企業の平成11年の実績を大幅に上回っている。

表2 学歴別初任給

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